概要
氷河で見つかった男。銅の斧を持ち、背中に矢を受けていた。名も身分も分からない一人の人間の、最後の数日が分かっている。
場所
エッツ渓谷
46.78°N 10.84°E · イタリア/オーストリア国境
46.78°N 10.84°E · イタリア/オーストリア国境
本文
1991年、アルプスの氷河から男の遺体が出た。 遭難者だと思われたが、5300年前の人だった。
分かっていることが多い。 45歳前後、身長160センチほど。 最後の食事は、鹿と山羊の肉と穀物。 腸には寄生虫がいた。 関節を痛めていて、 その位置に一致する入れ墨が61ある。 治療の跡だという説がある。
持ち物も残った。 銅の斧、火打ち石、薬用のキノコ、 そして作りかけの弓と、14本の矢のうち完成していたのは2本。
死因が分かったのは、発見から10年後になる。 X線で、左肩に石の鏃が刺さっていた。 背後から射られている。
手には別人の血が付いていた。 争った後、逃げて、撃たれた。
名も、身分も、なぜ争ったのかも分からない。 それでも、一人の人間の最後の数日が分かっている。