概要
数百の記号を覚えなければ書けなかったものが、22の子音字で書けるようになった。書くことが書記の専門職から離れる。ギリシア文字もラテン文字もアラビア文字もヘブライ文字も、ここから枝分かれしている。
場所
ビブロス
34.12°N 35.65°E · レバノン
34.12°N 35.65°E · レバノン
本文
楔形文字は数百の記号を覚えなければ書けなかった。エジプトの聖刻文字も同じで、 書くことは訓練を受けた書記の職能であり、王と神殿がそれを抱えていた。
フェニキア人が整えたのは、子音だけを表す22の文字だった。 数百が22になれば、覚えるのに何年もかからない。 商人が帳簿を付けるために使い、船に乗って地中海中へ運ばれた。
ギリシア人はこれを受け取ったとき、自分たちの言葉に要らない子音字を 母音に振り替えた。ここで母音字が生まれる。 ラテン文字もキリル文字もこの系統で、アラビア文字とヘブライ文字は フェニキア文字から別の枝として伸びている。いま世界で使われている 表音文字のほとんどが、この一つの発明の子孫になる。
誰が作ったのかは分かっていない。シナイ半島でエジプトの記号を借りて 書かれた落書きが祖形とされるが、そこから先の道筋には隙間がある。
出典(2)
ウィリアム・H・マクニール(増田義郎、佐々木昭夫 訳) 『世界史』第I部 ユーラシア大文明の誕生とその発展(BC500年まで)
マット・リドレー(大田直子、鍛原多惠子、柴田裕之 訳) 『繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史』第3章 美徳の形成