概要
炭鉱の水を汲み上げるための機械だった。燃料を食いすぎて炭鉱の脇でしか使えない。それでも、石炭で動く最初の実用の動力になる。
場所
ダドリー
52.51°N -2.08°E · イギリス・ウェスト・ミッドランズ
52.51°N -2.08°E · イギリス・ウェスト・ミッドランズ
本文
炭鉱を深く掘ると、水が出る。 水を汲み上げる馬の数が、掘れる深さを決めていた。
トマス・ニューコメンは鍛冶屋で、炭鉱に道具を売っていた。 蒸気でシリンダーを満たし、冷やして真空を作り、 大気の圧力でピストンを押し下げる。 その動きでポンプを動かした。 1712年、ダドリーの炭鉱で最初の一台が動いた。
燃料を食いすぎた。 シリンダーを毎回温めては冷やすので、熱のほとんどが無駄になる。 炭鉱の脇でなら、石炭はただ同然なので使えた。 それ以外の場所では割に合わなかった。
それでも、燃料を燃やして動く最初の実用の機械になる。 一世紀のあいだに数百台が動いた。 ワットが1769年に直したのは、この無駄の部分だった。
『大分岐』は、この機械を石炭のそばで生まれた偶然の例に置く。 炭田が工業地帯のすぐ隣にあったこと。 中国の炭田は、豊かな長江下流から千km以上離れていた。
出典(2)
ケネス・ポメランツ(川北稔 監訳) 『大分岐 中国、ヨーロッパ、そして近代世界経済の形成』第5章(生態系の制約と石炭)
マット・リドレー(大田直子、鍛原多惠子、柴田裕之 訳) 『繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史』第7章 奴隷の解放