概要
東南アジアの山地に住む人びとは、国家に追いつかれなかったのではなく、国家から逃げてそこにいる。焼畑も、文字を持たないことも、逃げるための技術だった、という見方になる。
場所
ゾミア(東南アジア大陸部の山地)位置は特定されていない(誤差 ±600km)
22.00°N 99.00°E · ミャンマー・タイ・ラオス・ベトナム・中国雲南にまたがる高地
22.00°N 99.00°E · ミャンマー・タイ・ラオス・ベトナム・中国雲南にまたがる高地
本文
東南アジアの大陸部に、標高300mより上の広い高地がある。 ミャンマー、タイ、ラオス、ベトナム、中国の雲南にまたがり、 面積はヨーロッパに近い。 そこに、平地の国家に属さない人びとが1億人近く住んできた。
長く、遅れて取り残された人びとと見なされてきた。 文字を持たず、焼畑を続け、まとまった政治組織を作らない。
ジェームズ・C・スコットは、順序を逆にして読んだ。 彼らは取り残されたのではなく、逃げてきた。 平地の国家は、税と労役と徴兵と、そして稲作という定住の形を人に強いる。 そこから抜け出た人びとが、山へ上がった。
その目で見ると、性質の一つ一つが技術になる。 焼畑は移動しやすい。 根菜は徴税人に数えられない。 系譜が柔らかいのは、集団を素早く組み替えるためになる。 文字を持たないことすら、いったん捨てた選択かもしれない、と彼は書く。
道路と国境と国籍が高地まで届いた20世紀の後半に、 この2000年の逃げ場は閉じた。
動画(1)
出典(2)
ジェームズ・C・スコット(立木勝 訳) 『反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー』第7章(国家の外に出た人びと)
ジャレド・ダイアモンド(倉骨彰 訳) 『昨日までの世界 文明の源流と人類の未来』第1部(境界と、よそ者との付き合い方)