概要
500年続いた入植地が、誰にも気づかれずに消えた。最後の記録は1408年の結婚式。寒冷化、交易の途絶、イヌイットとの関係。理由は一つではない。
場所
ブラッタリーズ
61.15°N -45.52°E · グリーンランド・カシアルスク(東入植地)
61.15°N -45.52°E · グリーンランド・カシアルスク(東入植地)
本文
最後の文書は1408年、フヴァルセイの教会で結婚式があったという記録になる。 それきり、便りが途絶えた。
15世紀の半ばまでには、東入植地も無人になった。 西入植地はそれより早く、14世紀の半ばに消えている。 訪れた司祭が、家畜が野に放たれ人がいない、と書き残した。
理由は一つではない。 14世紀から気候が寒くなり、干し草が足りなくなった。 セイウチの牙はアフリカの象牙に押されて売れなくなり、船が来なくなった。 イヌイットは同じ時期に南下してきて、暮らしはずっと寒さに向いていた。
食べ物の骨を調べると、最後の世代は魚とアザラシに頼るようになっていた。 牛を飼うノルウェーの暮らしを、ぎりぎりまで手放さなかったことが分かる。
『文明崩壊』は、この消滅を五つの要因が全部そろった例にした。 環境、気候、隣人、交易相手、そして自分たちの選択。 ただし、飢えて死んだのか、船で去ったのかは、分かっていない。
出典(1)
ジャレド・ダイアモンド(楡井浩一 訳) 『文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの』第8章 ノルウェー領グリーンランドの終焉