概要
ビブロスの王の石棺の縁に、「この棺を開ける者に、王笏は折れ、玉座は覆る」とフェニキア文字で刻まれている。22文字のアルファベットで書かれた最古の長い文。ギリシア文字もラテン文字も、ここから100年か200年のうちに分かれた。
場所
34.12°N 35.65°E · レバノン
本文
ビブロス。グブラ。ジュバイル。ベイルートの北40キロ。 BC5000年から人が住み続けている。 ギリシア語でパピルスをビブロスと言い、本をビブリオンと言い、バイブルになった。ここからエジプトのパピルスが来た。 エジプトへ杉を送った。BC3000年から。エジプト語で海を行く船を「ビブロスへの船」と言った。
1923年、ピエール・モンテ。王の墓地。9つの竪穴。地滑りで穴が開いた。 石棺。石灰岩。獅子が支えている。蓋に二人の獅子。 王がスフィンクスの玉座に。机に食べ物。捧げ物を持つ行列。泣く女たち4人、胸を打って髪を引いて。しおれた蓮。 エジプト、ヒッタイト、ミケーネの混ざったフェニキアの様式。
碑文。蓋の縁と石棺の縁。 「イットバアル、アヒラムの子、ビブロスの王が、この棺を父アヒラムのために作った。彼を永遠に置いたとき。もし王の中の王、総督の中の総督、陣の司令官がビブロスを攻めてこの棺を暴くなら、その王笏は折れ、その王座は覆り、平和はビブロスから逃げる」。 38語。22文字。右から左。母音なし。 アレフ、ベト、ギメル、ダレト。アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ。 最古の長いフェニキア碑文。BC1000年かBC850年か。棺はBC13世紀で碑文はあとという説も。ラムセス2世の壺が同じ墓にあった。 竪穴の壁に落書き。「ここに気をつけよ。ここより下に災いが」。墓泥棒への警告。効かなかった。棺だけ残った。
ティルスのヒラムと同じ時代、別の街、同じ名。イットバアルはイゼベルの父の名でもある。100年あと。
原シナイ文字。BC1800年、エジプトの鉱山で働いたセム人が象形文字から。牛の頭がアレフ。アレフは牛。家がベト。 ビブロスで22文字の線に。ギリシア人がBC800年頃に母音を足した。子音の文字を母音に。 ヘロドトスは「カドモスがフェニキアから文字を」と書いた。知っていた。 ラテン、キリル、アラビア、ヘブライ。インドのブラーフミーもアラム文字から、たぶん。 漢字とその子孫を除いて、世界の文字の半分以上がこの22文字から。
ベイルートの国立博物館。内戦で博物館が前線になり、石棺は15年コンクリートで囲まれた。無事だった。 2020年8月4日、港の爆発で窓が全部割れた。無事だった。3000年。