概要
座の特権と関所の通行料を廃し、誰でも商えるようにした。中世を通じて自治的だった市の自由を、大名が自分の城下に囲い込んだ、とも読める。
場所
安土
35.15°N 136.14°E · 日本・滋賀県
35.15°N 136.14°E · 日本・滋賀県
本文
中世の市には、座があった。 特定の商人の集まりが、その品を扱う権利を持ち、寺社や公家に金を納めて守ってもらう。 道には関所があり、通るたびに金を取られた。
織田信長は、1567年に加納で、1577年に安土の城下で、 座の特権を認めず、誰でも商売してよいとする掟を出した。 関所も廃した。 安土の掟には、街道を通る荷はこの町で泊まれ、という条項もある。
教科書では、自由な商業を開いた進んだ政策として書かれてきた。
網野善彦の読み方は少し違う。 中世の市は、もともと領主の力が及ばない「無縁」の場所だった。 そこでの自由は、誰かに与えられたものではない。 楽市の掟は、その古い自由を追認しながら、 同時にそれを大名の城下に囲い込み、自分の許した自由に変えた、という見方になる。
秀吉と家康がこれを引き継ぎ、 やがて商人は、身分の枠の中に収められていく。
出典(1)
網野善彦 『日本の歴史をよみなおす』第2章 貨幣と商業・金融