概要
支配される側が、支配する側の目で自分を見てしまう。27歳の精神科医が書いた最初の本。
この物語について
『黒い皮膚・白い仮面』(フランツ・ファノン、1952年、日本語版1970年)は、著者が27歳のときに書いた。医学の博士論文として提出して却下され、そのまま本になった。
扱うのは、植民地支配が人の内面に何をするかになる。
第1章は言語から始まる。マルティニークの人がフランス語を正しく話せば話すほど、白人に近いとみなされる。言葉を身につけるとは、その言葉を持つ世界の見方を身につけることでもある。
有名な場面がある。汽車の中で子どもが「ママ、黒んぼだ」と言う。その一言で、自分が自分の身体を、外側から与えられた像として意識してしまう。著者はそれを、内側から書いた。
結論は、被害を訴えることではない。過去に閉じ込められることを拒み、白人も黒人も、その役から降りるべきだ、という呼びかけになる。
この物語は、本の背景にあるできごとを並べたものになる。本文は写していない。
9年後、著者は『地に呪われたる者』を口述して死ぬ。心の分析から、植民地体制そのものへ、対象が移っていく。
動画(2)
重なっているストーリー
同じできごとや人物を含む物語です。何件を共有しているかを添えました。
『地に呪われたる者』で読む脱植民地5件を共有 / 植民地支配が人の心に何をするかを、精神科医が診察室から書いた。36歳で死ぬ年に口述された本。主権はだれのものか3件を共有 / 王が決めるのか、議会が決めるのか、国民が決めるのか。800年かけて答えが動いた。帝国と独立2件を共有 / 数十年で世界の大半が数か国のものになり、また数十年で戻った。『砂糖の世界史』で読む世界商品2件を共有 / 一つの白い粒を追いかけると、カリブの奴隷とイギリスの朝食と産業革命が一本につながる。交易路とお金1件を共有 / 運ぶ/両替する/貸す。人と物が動くところには、いつも同じ仕組みが生えてくる。考えることの歴史1件を共有 / 同じ数百年のあいだに、ギリシアでも中国でもインドでも、人が根本から考え直した。『サピエンス全史』で読む歴史1件を共有 / ハラリが人類史を三つの革命で切った本。その筋に沿って、このデータベースの項目を並べ直す。『銃・病原菌・鉄』で読む歴史1件を共有 / なぜ征服したのがスペイン人で、されたのがインカだったのか。ダイアモンドは答えを人ではなく大陸の形に求めた。『国家はなぜ衰退するのか』で読む歴史1件を共有 / 国境をひとつ挟んで豊かさが違うのは、地理でも文化でもなく制度のせいだ、という本。2024年のノーベル経済学賞の元になった。『文明崩壊』で読む歴史1件を共有 / イースター島、マヤ、グリーンランドのノルウェー人。環境を使い尽くした社会と、そうしなかった社会。『大分岐』で読む歴史1件を共有 / 1800年まで、長江下流とイングランドは同じくらい豊かだった。分かれたのは石炭と植民地のせいだ、という本。『暴力の人類史』で読む歴史1件を共有 / 人が人を殺す率は、狩猟採集の時代から今まで、長い目で見ればずっと下がってきた、という本。反論も多い。『負債論』で読む歴史1件を共有 / お金は物々交換の不便から生まれた、という話は史料に無い。先にあったのは借りのほうだ、という本。『想像の共同体』で読む歴史1件を共有 / 国民とは、会ったこともない人を同じ仲間だと思える想像力のことだ、という本。『1491』『1493』で読む新大陸1件を共有 / コロンブス以前のアメリカは人の少ない原野ではなかった。以後の世界は、生き物の大移動でできている。『近代世界システム』で読む歴史1件を共有 / 国ごとの発展を比べるのをやめる。16世紀からずっと、世界は一つの分業の仕組みとして動いてきた、という本。『収奪された大地』で読むラテンアメリカ1件を共有 / 500年の歴史を、何が持ち去られたかで書く。金、銀、砂糖、ゴム、コーヒー、銅、石油。筋(5)
年代順に並べてあります。役どころが書いてあるものは、なぜこの物語に含まれるかを添えました。
大西洋奴隷貿易できごと / 1526年ハイチ革命できごと / 1791年フランツ・ファノン人物 / AD1925年7月20日 – AD1961年12月6日 / 著者。27歳のときの本セティフの虐殺できごと / AD1945年5月8日 / 著者が兵として戻る途中に起きたアルジェリア戦争できごと / 1954年 / 9年後、著者はこの側に立つ