概要
一つの白い粒を追いかけると、カリブの奴隷とイギリスの朝食と産業革命が一本につながる。
この物語について
『砂糖の世界史』(川北稔、1996年)は、中学生にも読めるように書かれた薄い本になる。それでいて、世界システム論の考え方をそのまま伝えている。
砂糖は、はじめ薬であり、王侯の贅沢だった。それがカリブ海の島々で大量に作られるようになり、値が下がり、庶民の食卓に入る。
そのために必要だったのは、土地と労働力になる。島の先住民は消え、アフリカから人が運ばれた。砂糖と奴隷と工業製品が三角形を描いて大西洋を回る。
イギリス側では、砂糖入りの紅茶が労働者の朝食になった。短い休憩で熱量を取れる飲み物が、工場の労働に合っていた。甘い紅茶がなければ産業革命の労働はもたなかった、という言い方まで本はする。
「世界商品」という言葉で、著者は同じ型を他の品にも当てる。茶、綿、コーヒー、そして石油。
この物語は、本が追った流れを並べ直したものになる。本文は写していない。
動画(1)
重なっているストーリー
同じできごとや人物を含む物語です。何件を共有しているかを添えました。
交易路とお金3件を共有 / 運ぶ/両替する/貸す。人と物が動くところには、いつも同じ仕組みが生えてくる。『物質文明・経済・資本主義』で読む三つの層3件を共有 / 毎日の暮らし、市場での取引、そしてその上に乗る資本主義。ブローデルは経済を三層に分けた。感染症と人類2件を共有 / 人が動くほど病も動いた。文明の広がりと感染の広がりは、同じ地図の上にある。主権はだれのものか2件を共有 / 王が決めるのか、議会が決めるのか、国民が決めるのか。800年かけて答えが動いた。『サピエンス全史』で読む歴史2件を共有 / ハラリが人類史を三つの革命で切った本。その筋に沿って、このデータベースの項目を並べ直す。『国家はなぜ衰退するのか』で読む歴史2件を共有 / 国境をひとつ挟んで豊かさが違うのは、地理でも文化でもなく制度のせいだ、という本。2024年のノーベル経済学賞の元になった。『大分岐』で読む歴史2件を共有 / 1800年まで、長江下流とイングランドは同じくらい豊かだった。分かれたのは石炭と植民地のせいだ、という本。『1491』『1493』で読む新大陸2件を共有 / コロンブス以前のアメリカは人の少ない原野ではなかった。以後の世界は、生き物の大移動でできている。『大転換』で読む歴史2件を共有 / 市場はずっと社会の一部だった。それが逆転して、社会のほうが市場に合わせはじめた19世紀に何が起きたか。『近代世界システム』で読む歴史2件を共有 / 国ごとの発展を比べるのをやめる。16世紀からずっと、世界は一つの分業の仕組みとして動いてきた、という本。『地に呪われたる者』で読む脱植民地2件を共有 / 植民地支配が人の心に何をするかを、精神科医が診察室から書いた。36歳で死ぬ年に口述された本。『交易の世界史』で読む物の流れ2件を共有 / シュメールの銅から現代のコンテナまで。人が物を遠くへ運ぶために、何をしてきたか。『リオリエント』で読む世界経済2件を共有 / 1800年まで、世界経済の中心はアジアだった。ヨーロッパは、その列に遅れて並んだ客にすぎない。『収奪された大地』で読むラテンアメリカ2件を共有 / 500年の歴史を、何が持ち去られたかで書く。金、銀、砂糖、ゴム、コーヒー、銅、石油。『黒い皮膚・白い仮面』で読む植民地の心2件を共有 / 支配される側が、支配する側の目で自分を見てしまう。27歳の精神科医が書いた最初の本。中国の王朝1件を共有 / 殷から清まで3000年。王朝は替わっても、同じ型で替わり続けた。技術と産業1件を共有 / 道具が人を変え、その人がまた道具を作った。速さが加速していく話。都市の歴史1件を共有 / 人が密集して住むという異常な選択が、文明のほとんどを生んだ。民族移動の時代1件を共有 / 4〜6世紀、ユーラシアの東西で同時に人が動いた。ローマだけの話ではない。接触前のアメリカ1件を共有 / 旧大陸と行き来のないまま、農耕も都市も国家も別々に生まれた。3000年ぶんの、独立した実験。『銃・病原菌・鉄』で読む歴史1件を共有 / なぜ征服したのがスペイン人で、されたのがインカだったのか。ダイアモンドは答えを人ではなく大陸の形に求めた。『文明崩壊』で読む歴史1件を共有 / イースター島、マヤ、グリーンランドのノルウェー人。環境を使い尽くした社会と、そうしなかった社会。『暴力の人類史』で読む歴史1件を共有 / 人が人を殺す率は、狩猟採集の時代から今まで、長い目で見ればずっと下がってきた、という本。反論も多い。『世界史』(マクニール)で読む歴史1件を共有 / 文明どうしが接触し、借り、競い合うことで歴史が動く。世界を一つの物語として書いた最初の教科書。『繁栄』で読む歴史1件を共有 / 人類が豊かになったのは交換のおかげで、悲観する理由はいつも外れてきた、という本。反論側も付けてある。『負債論』で読む歴史1件を共有 / お金は物々交換の不便から生まれた、という話は史料に無い。先にあったのは借りのほうだ、という本。『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で読む歴史1件を共有 / 資本主義を生んだのは強欲ではなく、救われているか分からない不安だった、という100年前の論文。『想像の共同体』で読む歴史1件を共有 / 国民とは、会ったこともない人を同じ仲間だと思える想像力のことだ、という本。筋(7)
年代順に並べてあります。役どころが書いてあるものは、なぜこの物語に含まれるかを添えました。
大西洋奴隷貿易できごと / 1526年 / 砂糖と奴隷は同じ仕組みの表と裏カリブの砂糖プランテーションできごと / 1640年 / 本の中心広州の茶貿易できごと / 1700年 / 砂糖入りの紅茶という習慣産業革命できごと / 1760年 / 労働者の朝食が変わるハイチ革命できごと / 1791年 / 砂糖の島の革命イギリスの奴隷制廃止法できごと / AD1833年8月28日アイルランドのジャガイモ飢饉できごと / 1845年 / 一つの作物に頼ることの危うさ