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Story / ストーリー

『大分岐』で読む歴史

出てくるできごと AD1526 – AD1840
できごと 9人物 43

概要

1800年まで、長江下流とイングランドは同じくらい豊かだった。分かれたのは石炭と植民地のせいだ、という本。

この物語について

『大分岐』(ケネス・ポメランツ、2000年、日本語版2015年)は、ヨーロッパが早くから先を行っていたという前提を疑うところから始まる。18世紀の長江下流域とイングランドを、寿命、消費、市場の働き、技術で比べると、どちらが上とも言えない。

分かれたのは19世紀になる。理由は二つ。イングランドの炭田がたまたま工業地帯のすぐ近くにあったこと。そしてアメリカ大陸が、土地の制約を外に出せる場所を与えたこと。砂糖、綿花、木材。長江下流にはどちらも無かった。つまり分岐は文化や制度の優劣ではなく、地理と偶然の産物だ、と本は言う。

この物語は、本が比べたできごとと国を並べ直したものになる。本文は写していない。『国家はなぜ衰退するのか』が制度に、『銃・病原菌・鉄』が1万年前の地理に理由を求めたのに対し、この本は18世紀の地理と偶然に求める。同じ産業革命が、三冊で三通りに説明されている。

反論は多い。知識と科学の文化がヨーロッパにしか無かった、とモキイアは言う。分岐は1800年よりずっと前から始まっていた、と実質賃金の研究は言う。反論側の講義も同じ物語に付けてある。

動画(3)

Beyond the 'Great Divergence' Debate - Kenneth PomeranzCAPI at the University of Victoria著者本人が、本のあとの論争を振り返る
The Great Divergence: China, Europe, and the Making of the Modern World EconomyEl Colegio de México A.C.著者本人の講義
Knowledge as a Source of the Great Divergence | LSE Online EventLSE石炭と植民地ではなく知識の文化だ、と言うモキイア側。反論側

重なっているストーリー

同じできごとや人物を含む物語です。何件を共有しているかを添えました。

『サピエンス全史』で読む歴史8件を共有 / ハラリが人類史を三つの革命で切った本。その筋に沿って、このデータベースの項目を並べ直す。中国の王朝6件を共有 / 殷から清まで3000年。王朝は替わっても、同じ型で替わり続けた。『国家はなぜ衰退するのか』で読む歴史6件を共有 / 国境をひとつ挟んで豊かさが違うのは、地理でも文化でもなく制度のせいだ、という本。2024年のノーベル経済学賞の元になった。交易路とお金5件を共有 / 運ぶ/両替する/貸す。人と物が動くところには、いつも同じ仕組みが生えてくる。『繁栄』で読む歴史5件を共有 / 人類が豊かになったのは交換のおかげで、悲観する理由はいつも外れてきた、という本。反論側も付けてある。技術と産業4件を共有 / 道具が人を変え、その人がまた道具を作った。速さが加速していく話。帝国と独立3件を共有 / 数十年で世界の大半が数か国のものになり、また数十年で戻った。大航海時代2件を共有 / 海が壁ではなく道になった。二つの大陸が結ばれ、世界がひとつの市場になっていく。都市の歴史2件を共有 / 人が密集して住むという異常な選択が、文明のほとんどを生んだ。『世界史』(マクニール)で読む歴史2件を共有 / 文明どうしが接触し、借り、競い合うことで歴史が動く。世界を一つの物語として書いた最初の教科書。宗教改革と科学革命1件を共有 / 教会が独占していた「何が正しいか」の答えが、聖書と観測に明け渡されるまで。朝鮮半島1件を共有 / 大陸と島国のあいだで、独自の文字と技術を育てた1300年。考えることの歴史1件を共有 / 同じ数百年のあいだに、ギリシアでも中国でもインドでも、人が根本から考え直した。コテンラジオで聞く歴史1件を共有 / ポッドキャスト「コテンラジオ」が取り上げた人物とできごと。ここに並ぶ項目には、その回の動画が付いている。『銃・病原菌・鉄』で読む歴史1件を共有 / なぜ征服したのがスペイン人で、されたのがインカだったのか。ダイアモンドは答えを人ではなく大陸の形に求めた。『暴力の人類史』で読む歴史1件を共有 / 人が人を殺す率は、狩猟採集の時代から今まで、長い目で見ればずっと下がってきた、という本。反論も多い。

筋(16)

年代順に並べてあります。役どころが書いてあるものは、なぜこの物語に含まれるかを添えました。

大西洋奴隷貿易できごと / 1526年 / 第6章。土地の制約を海の向こうに出したポトシ銀山の開発できごと / AD1545年 / 第6章。銀は中国へ流れたネーデルラント連邦共和国国 / AD1581年(廃位布告) – AD1795年(フランス軍の侵入による崩壊) / 第4章オランダの黄金時代できごと / 1600年 / 第4章大英帝国国 / AD1607年(ヴァージニアの入植) – AD1997年(香港の返還) / 分岐の側国 / AD1644年(北京入城) – AD1912年(宣統帝の退位) / 第1章。1800年の長江下流は、イングランドと同じくらい豊かだった康熙帝人物 / AD1654年 – AD1722年 / 本が比べる18世紀の清の、前半の皇帝乾隆帝人物 / AD1711年9月25日 – AD1799年2月7日ニューコメンの蒸気機関できごと / AD1712年 / 第5章。石炭が工業地帯の隣にあったアダム・スミス人物 / AD1723年(6月5日洗礼) – AD1790年7月17日 / 本が疑う前提を書いた人乾隆帝の治世できごと / 1735年 / 第1章ジェームズ・ワット人物 / AD1736年 – AD1819年産業革命できごと / 1760年 / 第6章。分岐そのものワットの蒸気機関できごと / AD1769年マカートニー使節団できごと / AD1793年9月 / 第1章。傲慢の例ではなく、比較の材料として読み直すアヘン戦争できごと / 1840年 / 分岐のあと