← 地図で見る
Story / ストーリー

『繁栄』で読む歴史

出てくるできごと BC68000ごろ – AD2008
できごと 21人物 5

概要

人類が豊かになったのは交換のおかげで、悲観する理由はいつも外れてきた、という本。反論側も付けてある。

この物語について

『繁栄』(マット・リドレー、2010年、日本語版2010年)は、10万年前の石器の交換から始まる。人は物を交換する唯一の動物で、交換があるから分業が生まれ、分業があるから発明が生まれる。アイデアどうしが出会って子を作る、と著者は言う。

本の筋はこうなる。農耕、都市、交易路、印刷、化石燃料。交換の範囲が広がるたびに暮らしは良くなり、閉じた社会は停滞した。マルサスは人口が食料を追い越すと書いたが、そうならなかった。石炭が奴隷の代わりに働き、空気から作った窒素が土地を養った。悲観の予言は、酸性雨からY2Kまで、いつも外れてきた、と本は数え上げる。

この物語は、本が使ったできごとを並べ直したものになる。本文は写していない。

反論は強い。成長は有限の地球で続けられない、豊かさの平均は分配を隠す、外れた予言だけを数えるのは公平でない、といったものになる。成長を前提にしない経済を説く側の講演も、同じ物語に付けてある。

動画(3)

When ideas have sex | Matt RidleyTED著者本人が本の中心(交換が発明を生む)を17分で話す
The Rational Optimist | Matt Ridley | Talks at GoogleTalks at Google著者本人の一時間の講演
A healthy economy should be designed to thrive, not grow | Kate RaworthTED成長し続けることを前提にしない経済を説く。反論側

重なっているストーリー

同じできごとや人物を含む物語です。何件を共有しているかを添えました。

技術と産業11件を共有 / 道具が人を変え、その人がまた道具を作った。速さが加速していく話。『サピエンス全史』で読む歴史10件を共有 / ハラリが人類史を三つの革命で切った本。その筋に沿って、このデータベースの項目を並べ直す。交易路とお金5件を共有 / 運ぶ/両替する/貸す。人と物が動くところには、いつも同じ仕組みが生えてくる。『銃・病原菌・鉄』で読む歴史5件を共有 / なぜ征服したのがスペイン人で、されたのがインカだったのか。ダイアモンドは答えを人ではなく大陸の形に求めた。『国家はなぜ衰退するのか』で読む歴史5件を共有 / 国境をひとつ挟んで豊かさが違うのは、地理でも文化でもなく制度のせいだ、という本。2024年のノーベル経済学賞の元になった。『大分岐』で読む歴史5件を共有 / 1800年まで、長江下流とイングランドは同じくらい豊かだった。分かれたのは石炭と植民地のせいだ、という本。『世界史』(マクニール)で読む歴史5件を共有 / 文明どうしが接触し、借り、競い合うことで歴史が動く。世界を一つの物語として書いた最初の教科書。文明のはじまり4件を共有 / 農耕も都市も文字も、離れた場所で別々に始まった。そして始まった順序は、思っているのと違う。感染症と人類3件を共有 / 人が動くほど病も動いた。文明の広がりと感染の広がりは、同じ地図の上にある。考えることの歴史3件を共有 / 同じ数百年のあいだに、ギリシアでも中国でもインドでも、人が根本から考え直した。『疫病と世界史』で読む歴史3件を共有 / 歴史を動かしたのは王でも思想でもなく、目に見えない微生物だった、と最初に言い切った本。古代オリエント2件を共有 / 文字も法も都市も、まずここで生まれた。そして次々に主が入れ替わる2500年。探検と発見2件を共有 / 地平線の向こうに何があるかを、確かめに行った人たちの記録。都市の歴史2件を共有 / 人が密集して住むという異常な選択が、文明のほとんどを生んだ。冷戦のあと2件を共有 / 対立の構図が消えたあと、何が残ったのか。1989年からの三十年。表現の歴史2件を共有 / 書いた人、描いた人、作った人。政治と戦争のあいだに、ずっと別の営みがあった。コテンラジオで聞く歴史2件を共有 / ポッドキャスト「コテンラジオ」が取り上げた人物とできごと。ここに並ぶ項目には、その回の動画が付いている。確かめるという方法2件を共有 / 偉い人がそう言ったから、をやめた話。誰が最初かは、思っているほどはっきりしない。『暴力の人類史』で読む歴史2件を共有 / 人が人を殺す率は、狩猟採集の時代から今まで、長い目で見ればずっと下がってきた、という本。反論も多い。大航海時代1件を共有 / 海が壁ではなく道になった。二つの大陸が結ばれ、世界がひとつの市場になっていく。宗教改革と科学革命1件を共有 / 教会が独占していた「何が正しいか」の答えが、聖書と観測に明け渡されるまで。ローマ人の物語1件を共有 / ラティウムの一都市が地中海全域を呑み込み、そして西半分が消えるまでの1200年。二つの大戦1件を共有 / 一発の銃声から31年。二つの戦争は別々ではなく、前者の終わらせ方が後者を呼んだ。中国の王朝1件を共有 / 殷から清まで3000年。王朝は替わっても、同じ型で替わり続けた。東ローマ千年1件を共有 / ローマの西半分が消えたあと、東半分は1000年続いた。その中身をローマの続きとして並べる。民族移動の時代1件を共有 / 4〜6世紀、ユーラシアの東西で同時に人が動いた。ローマだけの話ではない。主権はだれのものか1件を共有 / 王が決めるのか、議会が決めるのか、国民が決めるのか。800年かけて答えが動いた。誰が書き残したか1件を共有 / 残っているものが全部ではない。誰の筆によるかで、同じ出来事が違って見える。『ローマ人の物語』で読むローマ1件を共有 / 塩野七生が15年かけて15巻で書いた、建国から西の帝国の終わりまで。このデータベースの第一期と同じ範囲になる。『ローマ帝国衰亡史』で読むローマ1件を共有 / ギボンが1776年に出しはじめた、トラヤヌスからコンスタンティノープル陥落までの1300年。「なぜ滅びたか」を問う型はここで作られた。

筋(26)

年代順に並べてあります。役どころが書いてあるものは、なぜこの物語に含まれるかを添えました。

認知革命できごと / 約7万年前〜3万年前 / 第2章。交換が始まったのはこのころ、と本は見るサフルへの渡海できごと / 約6万5000年前(5万〜7万年前と幅がある) / 第2章。交換する動物だけが海を越えた農耕の始まりできごと / 紀元前90世紀 / 第4章ウルク。都市というものの始まりできごと / 紀元前35世紀 / 第5章。都市は交換の場所アルファベットの成立できごと / BC11世紀頃 / 第3章。商人が作った文字リュディアの鋳造貨幣できごと / BC7世紀後半 / 第3章西ローマ帝国の滅亡できごと / AD476年 / 第9章。交換が閉じると停滞する黒死病できごと / 1347年 / 第6章鄭和の南海遠征できごと / 1405年 / 第9章。閉じた側の例グーテンベルクの活版印刷できごと / AD1455年頃 / 第8章オランダの黄金時代できごと / 1600年 / 第5章ニューコメンの蒸気機関できごと / AD1712年 / 第7章。石炭が奴隷の代わりに働きはじめるアダム・スミス人物 / AD1723年(6月5日洗礼) – AD1790年7月17日 / 交換と分業。本の土台ジェームズ・ワット人物 / AD1736年 – AD1819年トマス・マルサス人物 / AD1766年2月13日 – AD1834年12月23日 / 本が反論する相手ワットの蒸気機関できごと / AD1769年 / 第7章『人口論』できごと / AD1798年 / 第6章。本が反論する相手鉄道の開業できごと / AD1825年9月27日 / 第8章イギリスの奴隷制廃止法できごと / AD1833年8月28日 / 第7章フリッツ・ハーバー人物 / AD1868年12月9日 – AD1934年1月29日ハーバー・ボッシュ法できごと / AD1913年 / 第4章。土地の限界を化学が外したノーマン・ボーローグ人物 / AD1914年3月25日 – AD2009年9月12日 / 第4章緑の革命できごと / AD1965年 / 第4章オイルショックできごと / AD1973年 / 第10章天然痘の根絶宣言できごと / AD1980年5月8日 / 第1章。よりよい今日世界金融危機できごと / AD2008年 / 第10章。本が出る直前の悲観