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Story / ストーリー

『疫病と世界史』で読む歴史

出てくるできごと BC8951ごろ – AD2020
できごと 17人物 3

概要

歴史を動かしたのは王でも思想でもなく、目に見えない微生物だった、と最初に言い切った本。

この物語について

『疫病と世界史』(ウィリアム・H・マクニール、1976年、日本語版1985年)は、コルテスがなぜ数百人でアステカを倒せたのか、という問いから書きはじめられた。答えは天然痘になる。それなら他の時代も同じではないか、と著者は全部を見直した。

本の見方はこうなる。人と病原体のあいだには、長い時間をかけてできる均衡がある。農耕と都市が均衡を壊し、交易路と帝国が別々の均衡どうしをぶつけ、そのたびに免疫の無い側が大きく死ぬ。アテナイの疫病、ローマの疫病、モンゴルの道を通った黒死病、大洋を渡った天然痘。18世紀以降は医学と検疫がその均衡に人の側から手を入れはじめる。

この物語は、本が扱った流行をこのデータベースの側から並べ直したものになる。本文は写していない。既にある物語「疫病」と重なるが、こちらは一冊の本の筋として読むための並びになる。

本が出た1976年には、まだ分かっていなかったことも多い。黒死病の菌のゲノムが読まれ、天然痘がいつ人に入ったかの見積もりが変わり、新大陸の人口減少の数字も動いている。本の筋は残り、細部は書き換わっている。

動画(2)

Dr. Darren Staloff, William McNeill's "Plagues and Peoples"Michael Sugrue本そのものを一本の講義で解説している。著者本人の講演は見つからなかった
Disease! Crash Course World History 203CrashCourseこの本の筋(病が歴史を動かす)を12分で

重なっているストーリー

同じできごとや人物を含む物語です。何件を共有しているかを添えました。

感染症と人類16件を共有 / 人が動くほど病も動いた。文明の広がりと感染の広がりは、同じ地図の上にある。『サピエンス全史』で読む歴史5件を共有 / ハラリが人類史を三つの革命で切った本。その筋に沿って、このデータベースの項目を並べ直す。『銃・病原菌・鉄』で読む歴史5件を共有 / なぜ征服したのがスペイン人で、されたのがインカだったのか。ダイアモンドは答えを人ではなく大陸の形に求めた。大航海時代4件を共有 / 海が壁ではなく道になった。二つの大陸が結ばれ、世界がひとつの市場になっていく。『世界史』(マクニール)で読む歴史4件を共有 / 文明どうしが接触し、借り、競い合うことで歴史が動く。世界を一つの物語として書いた最初の教科書。接触前のアメリカ3件を共有 / 旧大陸と行き来のないまま、農耕も都市も国家も別々に生まれた。3000年ぶんの、独立した実験。『繁栄』で読む歴史3件を共有 / 人類が豊かになったのは交換のおかげで、悲観する理由はいつも外れてきた、という本。反論側も付けてある。文明のはじまり2件を共有 / 農耕も都市も文字も、離れた場所で別々に始まった。そして始まった順序は、思っているのと違う。確かめるという方法2件を共有 / 偉い人がそう言ったから、をやめた話。誰が最初かは、思っているほどはっきりしない。『暴力の人類史』で読む歴史2件を共有 / 人が人を殺す率は、狩猟採集の時代から今まで、長い目で見ればずっと下がってきた、という本。反論も多い。古代オリエント1件を共有 / 文字も法も都市も、まずここで生まれた。そして次々に主が入れ替わる2500年。ローマ人の物語1件を共有 / ラティウムの一都市が地中海全域を呑み込み、そして西半分が消えるまでの1200年。二つの大戦1件を共有 / 一発の銃声から31年。二つの戦争は別々ではなく、前者の終わらせ方が後者を呼んだ。中国の王朝1件を共有 / 殷から清まで3000年。王朝は替わっても、同じ型で替わり続けた。技術と産業1件を共有 / 道具が人を変え、その人がまた道具を作った。速さが加速していく話。都市の歴史1件を共有 / 人が密集して住むという異常な選択が、文明のほとんどを生んだ。草原の帝国1件を共有 / 匈奴からジュンガルまで、2500年のあいだ農耕世界の北にいた人たちの側から歴史を並べる。東ローマ千年1件を共有 / ローマの西半分が消えたあと、東半分は1000年続いた。その中身をローマの続きとして並べる。日本の古代1件を共有 / 中国の史書にだけ名が残る王たちから、律令の国家ができるまで。手本は常に大陸にあった。ペルシア戦争1件を共有 / 当時最大の帝国に、都市国家の寄り合いが勝った。ギリシアが自分たちを語りはじめる。『ローマ人の物語』で読むローマ1件を共有 / 塩野七生が15年かけて15巻で書いた、建国から西の帝国の終わりまで。このデータベースの第一期と同じ範囲になる。『国家はなぜ衰退するのか』で読む歴史1件を共有 / 国境をひとつ挟んで豊かさが違うのは、地理でも文化でもなく制度のせいだ、という本。2024年のノーベル経済学賞の元になった。『ローマ帝国衰亡史』で読むローマ1件を共有 / ギボンが1776年に出しはじめた、トラヤヌスからコンスタンティノープル陥落までの1300年。「なぜ滅びたか」を問う型はここで作られた。

筋(20)

年代順に並べてあります。役どころが書いてあるものは、なぜこの物語に含まれるかを添えました。

農耕の始まりできごと / 紀元前90世紀 / 第2章。家畜と密に暮らして、病が人に移ったウルク。都市というものの始まりできごと / 紀元前35世紀 / 第2章。都市は病が定着できる大きさの群れアテナイの疫病できごと / BC430年 / 第3章。記録に残る最古の流行アントニヌスの疫病できごと / 165年 / 第3章。ローマと漢の疫病が同じ道でつながっている、と本は見るキプリアヌスの疫病できごと / 249年 / 第3章ユスティニアヌスの疫病できごと / 541年 / 第3章。ペストの一度目天平の疫病できごと / 735年 / 第3章。島国に病が届くと、免疫の無い人口が一度に減るモンゴル帝国の拡大できごと / 1206年 / 第4章。草原の道が、ネズミと菌の道になった黒死病できごと / 1347年 / 第4章。ペストの二度目エルナン・コルテス人物 / AD1485年 – AD1547年12月2日 / 本の出発点天然痘のアメリカ大陸上陸できごと / AD1520年 / 第5章。本の出発点になった問いテノチティトランの陥落できごと / AD1521年 / 第5章インカ帝国の滅亡できごと / AD1533年 / 第5章エドワード・ジェンナー人物 / AD1749年 – AD1823年ジェンナーの種痘できごと / AD1796年 / 第6章。人の側から均衡に手を入れた最初ルイ・パスツール人物 / AD1822年12月27日 – AD1895年9月28日ブロード・ストリートのコレラできごと / AD1854年8〜9月 / 第6章。地図で病の道筋を突き止めた第三次ペスト大流行できごと / 1894年 / 第6章。ペストの三度目。菌が見つかったスペイン風邪できごと / 1918年 / 第6章COVID-19の世界的流行できごと / 2020年 / 本の出たあと。筋はそのまま当てはまる