概要
農耕も都市も文字も、離れた場所で別々に始まった。そして始まった順序は、思っているのと違う。
この物語について
教科書の順序は「農耕が始まって、余剰ができて、都市ができて、文字ができる」になっている。だが実際に出てくるものは、その順序に素直に並ばない。
ギョベクリ・テペでは、農耕を始めていない狩猟採集の人びとが巨石を立てて何かを建てている。神殿が先で村が後だったのかもしれない。縄文の土器は世界最古級だが、作った人たちは農耕を始めていない。チャタル・ヒュユクには数千人が住んだのに、王の家らしきものが見つからない。モヘンジョダロも同じで、下水は完備しているのに宮殿も王墓も無い。
文字も、最初に書かれたのは詩でも法でもなく麦とビールの帳簿だった。数えるために生まれ、ずっと後になって『ギルガメシュ叙事詩』を書けるようになる。
そして同じことが離れた場所で起きている。ギザにピラミッドが建った頃、ペルーの海岸にもピラミッドを持つ都市があった。互いを知らないまま、人は似たところへ辿り着いた。
重なっているストーリー
同じできごとや人物を含む物語です。何件を共有しているかを添えました。
『サピエンス全史』で読む歴史19件を共有 / ハラリが人類史を三つの革命で切った本。その筋に沿って、このデータベースの項目を並べ直す。古代オリエント12件を共有 / 文字も法も都市も、まずここで生まれた。そして次々に主が入れ替わる2500年。『銃・病原菌・鉄』で読む歴史10件を共有 / なぜ征服したのがスペイン人で、されたのがインカだったのか。ダイアモンドは答えを人ではなく大陸の形に求めた。都市の歴史7件を共有 / 人が密集して住むという異常な選択が、文明のほとんどを生んだ。『世界史』(マクニール)で読む歴史6件を共有 / 文明どうしが接触し、借り、競い合うことで歴史が動く。世界を一つの物語として書いた最初の教科書。中国の王朝4件を共有 / 殷から清まで3000年。王朝は替わっても、同じ型で替わり続けた。技術と産業4件を共有 / 道具が人を変え、その人がまた道具を作った。速さが加速していく話。『繁栄』で読む歴史4件を共有 / 人類が豊かになったのは交換のおかげで、悲観する理由はいつも外れてきた、という本。反論側も付けてある。考えることの歴史3件を共有 / 同じ数百年のあいだに、ギリシアでも中国でもインドでも、人が根本から考え直した。接触前のアメリカ3件を共有 / 旧大陸と行き来のないまま、農耕も都市も国家も別々に生まれた。3000年ぶんの、独立した実験。誰が書き残したか3件を共有 / 残っているものが全部ではない。誰の筆によるかで、同じ出来事が違って見える。ペルシア戦争2件を共有 / 当時最大の帝国に、都市国家の寄り合いが勝った。ギリシアが自分たちを語りはじめる。コテンラジオで聞く歴史2件を共有 / ポッドキャスト「コテンラジオ」が取り上げた人物とできごと。ここに並ぶ項目には、その回の動画が付いている。『疫病と世界史』で読む歴史2件を共有 / 歴史を動かしたのは王でも思想でもなく、目に見えない微生物だった、と最初に言い切った本。『暴力の人類史』で読む歴史2件を共有 / 人が人を殺す率は、狩猟採集の時代から今まで、長い目で見ればずっと下がってきた、という本。反論も多い。探検と発見1件を共有 / 地平線の向こうに何があるかを、確かめに行った人たちの記録。主権はだれのものか1件を共有 / 王が決めるのか、議会が決めるのか、国民が決めるのか。800年かけて答えが動いた。表現の歴史1件を共有 / 書いた人、描いた人、作った人。政治と戦争のあいだに、ずっと別の営みがあった。確かめるという方法1件を共有 / 偉い人がそう言ったから、をやめた話。誰が最初かは、思っているほどはっきりしない。筋(46)
年代順に並べてあります。役どころが書いてあるものは、なぜこの物語に含まれるかを添えました。
火の使用できごと / 約100万〜40万年前(炉が日常のものになるのは40万年前ごろ) / この年表でいちばん古い項目ホモ・サピエンスの出現できごと / 約30万年前(ジェベル・イルード)〜20万年前(オモ・キビシュ)デニソワ人できごと / 約20万年前からピナクル・ポイントの海辺の暮らしできごと / 約16万年前 / 海辺が氷期の逃げ場になった最初のアフリカ外進出できごと / 約18万〜9万年前(ミスリヤ/スフール・カフゼー)トバ火山の噴火できごと / 約7万4000年前 / 人類が絶滅しかけた、という説の出どころ認知革命できごと / 約7万年前〜3万年前 / 文字も農耕もない時代に、協力の仕組みだけが先にあったサフルへの渡海できごと / 約6万5000年前(5万〜7万年前と幅がある)ネアンデルタール人の消滅できごと / 約4万年前ライオンマン像できごと / 約4万年前 / 想像したものを形にした最古の例ショーヴェ洞窟の壁画できごと / 約3万6000年前アメリカ大陸への到達できごと / 約1万6000年前(2万3000〜1万5000年前と幅がある)縄文土器できごと / 紀元前140世紀 / 土器=農耕という順序は成り立たないギョベクリ・テペできごと / 紀元前95世紀 / 神殿が先で村が後だったのかもしれない農耕の始まりできごと / 紀元前90世紀 / 身長は縮み、病気は増えた。それでも人口は桁違いに増えるチャタル・ヒュユクできごと / 紀元前71世紀 / 数千人が住んだのに、王の家が見つからない緑のサハラできごと / 約1万1000年前から5500年前まで / 気候の変化が、文明を一つ押し出したトウモロコシの栽培化できごと / 約9000年前 / 新大陸の農耕の起点馬の家畜化できごと / 約5500年前(ボタイ)〜4200年前(黒海北岸の草原)ウルク。都市というものの始まりできごと / 紀元前35世紀 / 分業も神殿も官僚も、ここで一度に現れる車輪の登場できごと / 紀元前35世紀アイスマンの死できごと / BC3300年頃 / 名も身分も分からない一人の、最後の数日楔形文字の成立できごと / 紀元前32世紀 / 最初に書かれたのは麦とビールの帳簿だった上下エジプトの統一できごと / BC3100年頃(年代には幅がある)ナルメル人物 / 在位 BC3100年頃(年代には幅がある) – ?インダス文明できごと / BC2600年ギザの大ピラミッド建設できごと / BC2560年頃カラルの都市できごと / 紀元前26世紀 / ギザとほぼ同じ頃、ペルーの海岸にもモヘンジョダロの都市計画できごと / 紀元前25世紀 / 下水は完備しているのに宮殿も王墓も無いストーンヘンジの完成できごと / 紀元前25世紀 / 文字を持たない社会が組織した労働アッカドのサルゴンできごと / BC2334年頃 / 記録に残る最初の帝国サルゴン人物 / 在位 BC2334年頃(年代には幅がある) – BC2279年頃ウル・ナンム人物 / 在位 BC2112年頃 – BC2095年頃ウル・ナンム法典できごと / BC2100年頃 / 同害報復ではなく罰金で償わせている『ギルガメシュ叙事詩』できごと / 紀元前21世紀 / 数えるための文字が、ここまで来た二里頭の宮殿できごと / 紀元前19世紀クノッソスの宮殿できごと / 紀元前19世紀 / 線文字Aはいまも読めないインダス文明の衰退できごと / 紀元前19世紀 / 侵入の跡は無いハンムラビ法典できごと / BC1754年頃ヒクソスのエジプト支配できごと / BC1650年頃 / 馬と戦車がエジプトに入ったテラ島の噴火できごと / BC17〜16世紀 / 過去1万年で最大級の噴火殷の成立できごと / BC1600年頃 / 20世紀の初めまで伝説とされていた王朝ミュケナイの興りできごと / 紀元前16世紀ウガリットの文字できごと / BC1400年頃甲骨文字できごと / 紀元前13世紀 / 漢字はここから続いている三星堆の青銅器できごと / 紀元前12世紀 / 中国の古代文明は黄河のひとつではなかった