概要
シュメールの銅から現代のコンテナまで。人が物を遠くへ運ぶために、何をしてきたか。
この物語について
『交易の世界史』(ウィリアム・バーンスタイン、2008年、日本語版2010年)は、5000年の交易を一本の線でつなぐ。
扱うのは、運ばれた物と、そのために作られた仕組みと、そこで振るわれた暴力になる。メソポタミアの銅と錫、インド洋の季節風、ラクダの鞍、絹の道、香辛料、砂糖、茶、アヘン、綿、そして蒸気船とコンテナ。
本が繰り返し示すのは、交易が平和的な営みではなかったことになる。ナツメグの独占のためにオランダは島を一つ空にし、茶の代金を埋めるためにイギリスはアヘンを売り、砂糖のために数百万人が運ばれた。
同時に、交易が世界を作り替えてきたことも示す。病も、宗教も、技術も、同じ船と隊商に乗って動いた。
この物語は、本が追った品物と道を並べ直したものになる。本文は写していない。
この年表には交易を扱う物語がいくつもある。仕組みから見る『近代世界システム』、三層で見る『物質文明』、13世紀に別の世界があったと見る『ヨーロッパ覇権以前』。読み比べられる。
重なっているストーリー
同じできごとや人物を含む物語です。何件を共有しているかを添えました。
交易路とお金8件を共有 / 運ぶ/両替する/貸す。人と物が動くところには、いつも同じ仕組みが生えてくる。『サピエンス全史』で読む歴史5件を共有 / ハラリが人類史を三つの革命で切った本。その筋に沿って、このデータベースの項目を並べ直す。『物質文明・経済・資本主義』で読む三つの層4件を共有 / 毎日の暮らし、市場での取引、そしてその上に乗る資本主義。ブローデルは経済を三層に分けた。帝国と独立3件を共有 / 数十年で世界の大半が数か国のものになり、また数十年で戻った。『大分岐』で読む歴史3件を共有 / 1800年まで、長江下流とイングランドは同じくらい豊かだった。分かれたのは石炭と植民地のせいだ、という本。『ヨーロッパ覇権以前』で読む13世紀3件を共有 / 1250年から1350年まで、世界はすでに一つにつながっていた。ただし中心はヨーロッパではなかった。『近代世界システム』で読む歴史3件を共有 / 国ごとの発展を比べるのをやめる。16世紀からずっと、世界は一つの分業の仕組みとして動いてきた、という本。『リオリエント』で読む世界経済3件を共有 / 1800年まで、世界経済の中心はアジアだった。ヨーロッパは、その列に遅れて並んだ客にすぎない。中国の王朝2件を共有 / 殷から清まで3000年。王朝は替わっても、同じ型で替わり続けた。イスラム世界2件を共有 / 一世紀でイベリアからインダスまで。学問を受け継ぎ、育て、そして西へ返した。技術と産業2件を共有 / 道具が人を変え、その人がまた道具を作った。速さが加速していく話。都市の歴史2件を共有 / 人が密集して住むという異常な選択が、文明のほとんどを生んだ。『世界史』(マクニール)で読む歴史2件を共有 / 文明どうしが接触し、借り、競い合うことで歴史が動く。世界を一つの物語として書いた最初の教科書。『繁栄』で読む歴史2件を共有 / 人類が豊かになったのは交換のおかげで、悲観する理由はいつも外れてきた、という本。反論側も付けてある。『オリエンタリズム』で読む歴史2件を共有 / 西洋が「東洋」について語ってきたことは、東洋についての知識ではなく、西洋についての物語だった、という本。『砂糖の世界史』で読む世界商品2件を共有 / 一つの白い粒を追いかけると、カリブの奴隷とイギリスの朝食と産業革命が一本につながる。大航海時代1件を共有 / 海が壁ではなく道になった。二つの大陸が結ばれ、世界がひとつの市場になっていく。宗教改革と科学革命1件を共有 / 教会が独占していた「何が正しいか」の答えが、聖書と観測に明け渡されるまで。古代オリエント1件を共有 / 文字も法も都市も、まずここで生まれた。そして次々に主が入れ替わる2500年。インドと仏教1件を共有 / 一人の王子が始めた問いが、アショーカ王に拾われ、玄奘に運ばれ、東アジアへ届くまで。感染症と人類1件を共有 / 人が動くほど病も動いた。文明の広がりと感染の広がりは、同じ地図の上にある。草原の帝国1件を共有 / 匈奴からジュンガルまで、2500年のあいだ農耕世界の北にいた人たちの側から歴史を並べる。接触前のアメリカ1件を共有 / 旧大陸と行き来のないまま、農耕も都市も国家も別々に生まれた。3000年ぶんの、独立した実験。文明のはじまり1件を共有 / 農耕も都市も文字も、離れた場所で別々に始まった。そして始まった順序は、思っているのと違う。誰が書き残したか1件を共有 / 残っているものが全部ではない。誰の筆によるかで、同じ出来事が違って見える。コテンラジオで聞く歴史1件を共有 / ポッドキャスト「コテンラジオ」が取り上げた人物とできごと。ここに並ぶ項目には、その回の動画が付いている。『国家はなぜ衰退するのか』で読む歴史1件を共有 / 国境をひとつ挟んで豊かさが違うのは、地理でも文化でもなく制度のせいだ、という本。2024年のノーベル経済学賞の元になった。『疫病と世界史』で読む歴史1件を共有 / 歴史を動かしたのは王でも思想でもなく、目に見えない微生物だった、と最初に言い切った本。『万物の黎明』で読む歴史1件を共有 / 狩猟採集から農耕へ、村から都市へ、そして国家へ。その一本道の筋書きそのものが間違いだ、という本。『負債論』で読む歴史1件を共有 / お金は物々交換の不便から生まれた、という話は史料に無い。先にあったのは借りのほうだ、という本。『1491』『1493』で読む新大陸1件を共有 / コロンブス以前のアメリカは人の少ない原野ではなかった。以後の世界は、生き物の大移動でできている。『反穀物の人類史』で読む歴史1件を共有 / 人が穀物を育てたのではなく、穀物と国家が人を囲い込んだ。最初の国家は、なぜ壁の内側に人を閉じ込めたのか。『暴力と不平等の人類史』で読む格差1件を共有 / 格差を大きく縮めたのは、改革ではなく破局だった。戦争、革命、国家の崩壊、疫病の四つしかない、という本。『収奪された大地』で読むラテンアメリカ1件を共有 / 500年の歴史を、何が持ち去られたかで書く。金、銀、砂糖、ゴム、コーヒー、銅、石油。筋(12)
年代順に並べてあります。役どころが書いてあるものは、なぜこの物語に含まれるかを添えました。
ウルク。都市というものの始まりできごと / 紀元前35世紀 / 最初の長距離交易ソグド商人のネットワークできごと / 400年 / 絹の道泉州の海上交易できごと / 1000年シャンパーニュの大市できごと / 1150年ネーデルラント連邦共和国国 / AD1581年(廃位布告) – AD1795年(フランス軍の侵入による崩壊)大英帝国国 / AD1607年(ヴァージニアの入植) – AD1997年(香港の返還)バンダ諸島の虐殺と香辛料の独占できごと / AD1621年 / 香辛料をめぐる暴力カリブの砂糖プランテーションできごと / 1640年広州の茶貿易できごと / 1700年鉄道の開業できごと / AD1825年9月27日アヘン戦争できごと / 1840年スエズ運河の開通できごと / AD1869年11月17日 / 距離が縮む