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Story / ストーリー

『ヨーロッパ覇権以前』で読む13世紀

出てくるできごと AD400 – AD1498
できごと 13人物 25

概要

1250年から1350年まで、世界はすでに一つにつながっていた。ただし中心はヨーロッパではなかった。

この物語について

『ヨーロッパ覇権以前』(ジャネット・L・アブー=ルゴド、1989年、日本語版2001年)は、近代の世界システムが1500年のヨーロッパから始まった、という見方に反論する。

その250年前に、もう一つの世界システムがあった。シャンパーニュの大市からブリュージュ、ヴェネツィアとジェノヴァ、カイロと紅海、バグダードとペルシア湾、草原の道、インドの両海岸、マラッカ海峡、そして泉州と杭州。八つの重なり合う交易圏が、鎖のようにつながっていた。

この仕組みには一つの中心が無い、と本は言う。どの地域も、他を支配せずに参加していた。そしてヨーロッパは、その鎖のいちばん端の、いちばん貧しい部分だった。

では何が起きたのか。本の答えは「東が崩れた」になる。モンゴルの平和が終わり、黒死病が交易路を伝って人口を削り、明が船を焼いた。西が勝ったのではなく、東が退いた隙間にヨーロッパが入った、という筋になる。

この物語は、本が描いた13世紀の世界をこのデータベースの側から並べ直したものになる。本文は写していない。

動画(1)

An Introduction to Janet Abu Lughod's Before European Hegemony - A Macat History AnalysisMacat13世紀の八つの交易圏という本の見取り図を、短くまとめている

重なっているストーリー

同じできごとや人物を含む物語です。何件を共有しているかを添えました。

交易路とお金13件を共有 / 運ぶ/両替する/貸す。人と物が動くところには、いつも同じ仕組みが生えてくる。探検と発見6件を共有 / 地平線の向こうに何があるかを、確かめに行った人たちの記録。イスラム世界5件を共有 / 一世紀でイベリアからインダスまで。学問を受け継ぎ、育て、そして西へ返した。草原の帝国4件を共有 / 匈奴からジュンガルまで、2500年のあいだ農耕世界の北にいた人たちの側から歴史を並べる。『世界史』(マクニール)で読む歴史4件を共有 / 文明どうしが接触し、借り、競い合うことで歴史が動く。世界を一つの物語として書いた最初の教科書。中国の王朝3件を共有 / 殷から清まで3000年。王朝は替わっても、同じ型で替わり続けた。都市の歴史3件を共有 / 人が密集して住むという異常な選択が、文明のほとんどを生んだ。『国家はなぜ衰退するのか』で読む歴史3件を共有 / 国境をひとつ挟んで豊かさが違うのは、地理でも文化でもなく制度のせいだ、という本。2024年のノーベル経済学賞の元になった。『交易の世界史』で読む物の流れ3件を共有 / シュメールの銅から現代のコンテナまで。人が物を遠くへ運ぶために、何をしてきたか。『歴史序説』で読む王朝の寿命3件を共有 / 14世紀の北アフリカで、社会には法則があると考えた人がいた。王朝はなぜ三代で衰えるのか。大航海時代2件を共有 / 海が壁ではなく道になった。二つの大陸が結ばれ、世界がひとつの市場になっていく。インドと仏教2件を共有 / 一人の王子が始めた問いが、アショーカ王に拾われ、玄奘に運ばれ、東アジアへ届くまで。感染症と人類2件を共有 / 人が動くほど病も動いた。文明の広がりと感染の広がりは、同じ地図の上にある。誰が書き残したか2件を共有 / 残っているものが全部ではない。誰の筆によるかで、同じ出来事が違って見える。『サピエンス全史』で読む歴史2件を共有 / ハラリが人類史を三つの革命で切った本。その筋に沿って、このデータベースの項目を並べ直す。『疫病と世界史』で読む歴史2件を共有 / 歴史を動かしたのは王でも思想でもなく、目に見えない微生物だった、と最初に言い切った本。『物質文明・経済・資本主義』で読む三つの層2件を共有 / 毎日の暮らし、市場での取引、そしてその上に乗る資本主義。ブローデルは経済を三層に分けた。『繁栄』で読む歴史2件を共有 / 人類が豊かになったのは交換のおかげで、悲観する理由はいつも外れてきた、という本。反論側も付けてある。『地中海』で読む歴史2件を共有 / 歴史には三つの速さがある。ほとんど動かない時間、ゆっくり動く時間、そして事件。捕虜収容所で書かれた本。武士の700年1件を共有 / 地方の武装集団が政権を取り、そして自ら身分ごと消えるまで。東ローマ千年1件を共有 / ローマの西半分が消えたあと、東半分は1000年続いた。その中身をローマの続きとして並べる。帝国と独立1件を共有 / 数十年で世界の大半が数か国のものになり、また数十年で戻った。考えることの歴史1件を共有 / 同じ数百年のあいだに、ギリシアでも中国でもインドでも、人が根本から考え直した。コテンラジオで聞く歴史1件を共有 / ポッドキャスト「コテンラジオ」が取り上げた人物とできごと。ここに並ぶ項目には、その回の動画が付いている。『銃・病原菌・鉄』で読む歴史1件を共有 / なぜ征服したのがスペイン人で、されたのがインカだったのか。ダイアモンドは答えを人ではなく大陸の形に求めた。『暴力の人類史』で読む歴史1件を共有 / 人が人を殺す率は、狩猟採集の時代から今まで、長い目で見ればずっと下がってきた、という本。反論も多い。『オリエンタリズム』で読む歴史1件を共有 / 西洋が「東洋」について語ってきたことは、東洋についての知識ではなく、西洋についての物語だった、という本。『負債論』で読む歴史1件を共有 / お金は物々交換の不便から生まれた、という話は史料に無い。先にあったのは借りのほうだ、という本。『反穀物の人類史』で読む歴史1件を共有 / 人が穀物を育てたのではなく、穀物と国家が人を囲い込んだ。最初の国家は、なぜ壁の内側に人を閉じ込めたのか。『アラブが見た十字軍』で読む十字軍1件を共有 / 同じ200年を、襲われた側の年代記だけで書き直した本。彼らはそれを「フランク人の襲来」と呼んだ。『中世の秋』で読む中世の終わり1件を共有 / ルネサンスの前夜ではなく、中世そのものの終わり方。過剰な儀礼と、死への執着に覆われた14〜15世紀。『中国の科学と文明』で読む技術の歴史1件を共有 / 中国には長い科学技術の蓄積があった。では、なぜ近代科学はそこで生まれなかったのか。『モンタイユー』で読む中世の村1件を共有 / ピレネーの村人200人が、異端審問で一人ずつ尋問された。その調書から、村の暮らしが丸ごと出てくる。『暴力と不平等の人類史』で読む格差1件を共有 / 格差を大きく縮めたのは、改革ではなく破局だった。戦争、革命、国家の崩壊、疫病の四つしかない、という本。『イタリア・ルネサンスの文化』で読むルネサンス1件を共有 / 「ルネサンス」という時代の像そのものを作った本。150年たっても、まだその像の中にいる。『リオリエント』で読む世界経済1件を共有 / 1800年まで、世界経済の中心はアジアだった。ヨーロッパは、その列に遅れて並んだ客にすぎない。

筋(20)

年代順に並べてあります。役どころが書いてあるものは、なぜこの物語に含まれるかを添えました。

ソグド商人のネットワークできごと / 400年 / 草原の道の、はるか前史シュリーヴィジャヤ国 / AD7世紀半ば – AD13世紀後半(衰退と消滅には諸説ある)ヴェネツィア共和国国 / AD697年(最初のドージェの選出。伝承) – AD1797年(ナポレオンによる解体) / ヨーロッパ側の窓口アズハル学院の創設できごと / AD972年 / カイロと紅海の道泉州の海上交易できごと / 1000年 / 東の端。ムスリム商人が数万人住んだ中国の港シャンパーニュの大市できごと / 1150年 / ヨーロッパのサブシステムの心臓モンゴル帝国の拡大できごと / 1206年 / 草原の道が開いたことで、八つの圏が一つに鎖でつながったモンゴル帝国国 / AD1206年(クリルタイ) – (続く)マムルーク朝国 / AD1250年 – AD1517年(オスマンによる征服) / カイロと紅海を押さえたマルコ・ポーロ人物 / AD1254年 – AD1324年バグダードの陥落できごと / AD1258年国 / AD1271年 – AD1368年『東方見聞録』できごと / AD1298年(獄中での口述) / 逆向きに歩いた記録キルワとインド洋交易できごと / AD1300年頃 / インド洋の南の端イブン・バットゥータ人物 / AD1304年2月24日 – AD1369年頃イブン・バットゥータの旅できごと / AD1325年 / この世界システムを一人で歩き通した記録黒死病できごと / 1347年 / 結論。鎖が交易路を通って人口を削ったマラッカ王国の成立できごと / AD1400年頃 / 海峡鄭和の南海遠征できごと / 1405年 / 結論。東が自分から退いたカリカット到着できごと / AD1498年5月20日 / インド洋の要。ヨーロッパはここへ後から来る