概要
14世紀の北アフリカで、社会には法則があると考えた人がいた。王朝はなぜ三代で衰えるのか。
この物語について
『歴史序説(ムカッディマ)』(イブン・ハルドゥーン、1377年)は、大きな歴史書の序論として書かれ、序論のほうが本体より読まれることになった。
中心にあるのは「アサビーヤ」という考え方になる。集団を内側から結びつける力で、連帯とも団結心とも訳される。
本の筋はこうなる。砂漠や山で厳しく暮らす集団は、アサビーヤが強い。その力で都市を征服し、王朝を立てる。都市に住み、豊かになると、贅沢と分業が進み、結びつきは緩む。三代から四代で王朝は衰え、外から来た別の集団に倒される。そしてまた同じことが起きる。
著者はこれを、道徳の話ではなく、繰り返し起きる仕組みとして書いた。社会そのものを対象にする学問を作る、と宣言している。社会学の先駆と呼ばれるのは、そのためになる。
本人は、黒死病で両親と師を失い、各地の宮廷を渡り歩き、ダマスクスの城壁の外でティムールと会見した。
この物語は、本が扱った時代と、著者自身が生きたできごとを並べたものになる。本文は写していない。
動画(1)
重なっているストーリー
同じできごとや人物を含む物語です。何件を共有しているかを添えました。
イスラム世界6件を共有 / 一世紀でイベリアからインダスまで。学問を受け継ぎ、育て、そして西へ返した。『ヨーロッパ覇権以前』で読む13世紀3件を共有 / 1250年から1350年まで、世界はすでに一つにつながっていた。ただし中心はヨーロッパではなかった。草原の帝国2件を共有 / 匈奴からジュンガルまで、2500年のあいだ農耕世界の北にいた人たちの側から歴史を並べる。帝国と独立2件を共有 / 数十年で世界の大半が数か国のものになり、また数十年で戻った。交易路とお金2件を共有 / 運ぶ/両替する/貸す。人と物が動くところには、いつも同じ仕組みが生えてくる。感染症と人類1件を共有 / 人が動くほど病も動いた。文明の広がりと感染の広がりは、同じ地図の上にある。都市の歴史1件を共有 / 人が密集して住むという異常な選択が、文明のほとんどを生んだ。誰が書き残したか1件を共有 / 残っているものが全部ではない。誰の筆によるかで、同じ出来事が違って見える。『国家はなぜ衰退するのか』で読む歴史1件を共有 / 国境をひとつ挟んで豊かさが違うのは、地理でも文化でもなく制度のせいだ、という本。2024年のノーベル経済学賞の元になった。『疫病と世界史』で読む歴史1件を共有 / 歴史を動かしたのは王でも思想でもなく、目に見えない微生物だった、と最初に言い切った本。『世界史』(マクニール)で読む歴史1件を共有 / 文明どうしが接触し、借り、競い合うことで歴史が動く。世界を一つの物語として書いた最初の教科書。『繁栄』で読む歴史1件を共有 / 人類が豊かになったのは交換のおかげで、悲観する理由はいつも外れてきた、という本。反論側も付けてある。『地中海』で読む歴史1件を共有 / 歴史には三つの速さがある。ほとんど動かない時間、ゆっくり動く時間、そして事件。捕虜収容所で書かれた本。『アラブが見た十字軍』で読む十字軍1件を共有 / 同じ200年を、襲われた側の年代記だけで書き直した本。彼らはそれを「フランク人の襲来」と呼んだ。『中世の秋』で読む中世の終わり1件を共有 / ルネサンスの前夜ではなく、中世そのものの終わり方。過剰な儀礼と、死への執着に覆われた14〜15世紀。『モンタイユー』で読む中世の村1件を共有 / ピレネーの村人200人が、異端審問で一人ずつ尋問された。その調書から、村の暮らしが丸ごと出てくる。『暴力と不平等の人類史』で読む格差1件を共有 / 格差を大きく縮めたのは、改革ではなく破局だった。戦争、革命、国家の崩壊、疫病の四つしかない、という本。筋(7)
年代順に並べてあります。役どころが書いてあるものは、なぜこの物語に含まれるかを添えました。
マムルーク朝国 / AD1250年 – AD1517年(オスマンによる征服)バグダードの陥落できごと / AD1258年 / 王朝はなぜ滅びるかマンサ・ムーサの巡礼できごと / AD1324年 / 砂漠と都市の循環イブン・ハルドゥーン人物 / AD1332年 – AD1406年 / 著者黒死病できごと / 1347年 / 両親と師を失ったティムール帝国の拡大できごと / 1370年 / 城壁の外で会見した相手ティムール朝国 / AD1370年(ティムールのサマルカンド掌握) – AD1507年(ウズベクによるヘラート占領)