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Story / ストーリー

『中世の秋』で読む中世の終わり

出てくるできごと AD1054 – AD1517
できごと 7人物 11

概要

ルネサンスの前夜ではなく、中世そのものの終わり方。過剰な儀礼と、死への執着に覆われた14〜15世紀。

この物語について

『中世の秋』(ヨハン・ホイジンガ、1919年、日本語版1958年)は、14世紀と15世紀のフランスとネーデルラントを、新しい時代の始まりとしてではなく、古い時代の最も熟れきった姿として描く。

本が扱うのは、制度でも経済でもなく、人びとの感じ方になる。当時の生活は色が濃く、振れ幅が大きかった。公開処刑に群衆が集まり、行列と鐘の音が日常を区切り、愛も名誉も復讐も、決められた型に沿って演じられた。

ブルゴーニュ公の宮廷では、騎士道の誓いが実際の戦争と関係なく大がかりに行われた。形式が中身から離れて、それだけで肥大していく。死のイメージも同じで、骸骨が王も農民も同じ列に引き込む絵が壁に描かれた。

著者は、こういう過剰さを衰えのしるしとして読んだ。ルネサンスは、この秋のあとに来た。

この物語は、本が扱ったできごとを並べ直したものになる。本文は写していない。

批判もある。史料が宮廷と都市の上層に偏っている、という指摘になる。それでも、歴史に「感じ方」を持ち込んだ本として、いまも読まれ続けている。

動画(1)

Autumn of the Middle Ages: A Century LaterColumbia University刊行から100年後に、この本がいまも読めるかを研究者が検討する

重なっているストーリー

同じできごとや人物を含む物語です。何件を共有しているかを添えました。

キリスト教のひろがり4件を共有 / 迫害される小集団が、300年で帝国の宗教になり、そこから何度も割れながら世界へ出ていった。『モンタイユー』で読む中世の村3件を共有 / ピレネーの村人200人が、異端審問で一人ずつ尋問された。その調書から、村の暮らしが丸ごと出てくる。宗教改革と科学革命2件を共有 / 教会が独占していた「何が正しいか」の答えが、聖書と観測に明け渡されるまで。女性の権利2件を共有 / 人口の半分が、参政権を得るまでに文明の歴史のほとんどを要した。表現の歴史2件を共有 / 書いた人、描いた人、作った人。政治と戦争のあいだに、ずっと別の営みがあった。感染症と人類1件を共有 / 人が動くほど病も動いた。文明の広がりと感染の広がりは、同じ地図の上にある。技術と産業1件を共有 / 道具が人を変え、その人がまた道具を作った。速さが加速していく話。都市の歴史1件を共有 / 人が密集して住むという異常な選択が、文明のほとんどを生んだ。東ローマ千年1件を共有 / ローマの西半分が消えたあと、東半分は1000年続いた。その中身をローマの続きとして並べる。帝国と独立1件を共有 / 数十年で世界の大半が数か国のものになり、また数十年で戻った。コテンラジオで聞く歴史1件を共有 / ポッドキャスト「コテンラジオ」が取り上げた人物とできごと。ここに並ぶ項目には、その回の動画が付いている。『国家はなぜ衰退するのか』で読む歴史1件を共有 / 国境をひとつ挟んで豊かさが違うのは、地理でも文化でもなく制度のせいだ、という本。2024年のノーベル経済学賞の元になった。『疫病と世界史』で読む歴史1件を共有 / 歴史を動かしたのは王でも思想でもなく、目に見えない微生物だった、と最初に言い切った本。『世界史』(マクニール)で読む歴史1件を共有 / 文明どうしが接触し、借り、競い合うことで歴史が動く。世界を一つの物語として書いた最初の教科書。『繁栄』で読む歴史1件を共有 / 人類が豊かになったのは交換のおかげで、悲観する理由はいつも外れてきた、という本。反論側も付けてある。『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で読む歴史1件を共有 / 資本主義を生んだのは強欲ではなく、救われているか分からない不安だった、という100年前の論文。『想像の共同体』で読む歴史1件を共有 / 国民とは、会ったこともない人を同じ仲間だと思える想像力のことだ、という本。『ヨーロッパ覇権以前』で読む13世紀1件を共有 / 1250年から1350年まで、世界はすでに一つにつながっていた。ただし中心はヨーロッパではなかった。『地中海』で読む歴史1件を共有 / 歴史には三つの速さがある。ほとんど動かない時間、ゆっくり動く時間、そして事件。捕虜収容所で書かれた本。『チーズとうじ虫』で読む一人の宇宙1件を共有 / 16世紀の村の粉挽きが、世界は腐ったチーズから生まれたと語った。裁判の記録から、一人の頭の中を復元する。『暴力と不平等の人類史』で読む格差1件を共有 / 格差を大きく縮めたのは、改革ではなく破局だった。戦争、革命、国家の崩壊、疫病の四つしかない、という本。『歴史序説』で読む王朝の寿命1件を共有 / 14世紀の北アフリカで、社会には法則があると考えた人がいた。王朝はなぜ三代で衰えるのか。

筋(9)

年代順に並べてあります。役どころが書いてあるものは、なぜこの物語に含まれるかを添えました。

フランス王国国 / AD987年(ユーグ・カペーの即位) – AD1792年(王政の廃止)東西教会の分裂できごと / AD1054年 / 教会が二人の教皇に割れる教皇のアヴィニョン捕囚できごと / 1309年百年戦争できごと / 1337年黒死病できごと / 1347年 / この本の背景にある、死の近さブルゴーニュ公の宮廷できごと / 1384年 / 形式が中身から離れて肥大していく場所ジャンヌ・ダルク人物 / AD1412年 – AD1431年5月30日 / 本が描く時代の、最も知られた人死の舞踏できごと / 1424年 / 死が身分を平らにする95か条の論題できごと / AD1517年10月31日 / この秋のあとに来たもの