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Story / ストーリー

『地中海』で読む歴史

出てくるできごと AD1347 – AD1949
できごと 7人物 23

概要

歴史には三つの速さがある。ほとんど動かない時間、ゆっくり動く時間、そして事件。捕虜収容所で書かれた本。

この物語について

『地中海』(フェルナン・ブローデル、1949年、日本語版1991〜95年)は、16世紀後半の地中海を扱う。ただし、この本が有名なのは中身より、その組み立て方になる。

三部に分かれている。第I部は、山と海と気候。人の一生では動いたと感じられないほど遅い時間になる。第II部は、経済、国家、社会、文明。数十年から数百年の周期で動く時間になる。第III部でようやく、王と戦争と外交、つまり普通の歴史の書き方が出てくる。そしてそれを、著者は「表面の泡」と呼ぶ。

レパントの海戦は、この本では最後のほうの短い一節になる。勝敗より、その頃すでに地中海から大西洋へ世界の重心が移っていたことのほうが大きい、という順序になる。

著者はドイツの捕虜収容所で、資料をほとんど持たずに原稿を書いた。ノートを看守に託して国外へ送り、戦後に本になっている。

この物語は、本が扱ったできごとを、その三部に沿って並べたものになる。本文は写していない。

動画(1)

Dr. Darren Staloff, Fernand Braudel's "On History"Michael Sugrue「長い時間」という考え方そのものを説明する講義

重なっているストーリー

同じできごとや人物を含む物語です。何件を共有しているかを添えました。

大航海時代5件を共有 / 海が壁ではなく道になった。二つの大陸が結ばれ、世界がひとつの市場になっていく。『国家はなぜ衰退するのか』で読む歴史5件を共有 / 国境をひとつ挟んで豊かさが違うのは、地理でも文化でもなく制度のせいだ、という本。2024年のノーベル経済学賞の元になった。『物質文明・経済・資本主義』で読む三つの層4件を共有 / 毎日の暮らし、市場での取引、そしてその上に乗る資本主義。ブローデルは経済を三層に分けた。イスラム世界3件を共有 / 一世紀でイベリアからインダスまで。学問を受け継ぎ、育て、そして西へ返した。東ローマ千年3件を共有 / ローマの西半分が消えたあと、東半分は1000年続いた。その中身をローマの続きとして並べる。コテンラジオで聞く歴史3件を共有 / ポッドキャスト「コテンラジオ」が取り上げた人物とできごと。ここに並ぶ項目には、その回の動画が付いている。『近代世界システム』で読む歴史3件を共有 / 国ごとの発展を比べるのをやめる。16世紀からずっと、世界は一つの分業の仕組みとして動いてきた、という本。『リオリエント』で読む世界経済3件を共有 / 1800年まで、世界経済の中心はアジアだった。ヨーロッパは、その列に遅れて並んだ客にすぎない。『収奪された大地』で読むラテンアメリカ3件を共有 / 500年の歴史を、何が持ち去られたかで書く。金、銀、砂糖、ゴム、コーヒー、銅、石油。感染症と人類2件を共有 / 人が動くほど病も動いた。文明の広がりと感染の広がりは、同じ地図の上にある。帝国と独立2件を共有 / 数十年で世界の大半が数か国のものになり、また数十年で戻った。交易路とお金2件を共有 / 運ぶ/両替する/貸す。人と物が動くところには、いつも同じ仕組みが生えてくる。誰が書き残したか2件を共有 / 残っているものが全部ではない。誰の筆によるかで、同じ出来事が違って見える。『サピエンス全史』で読む歴史2件を共有 / ハラリが人類史を三つの革命で切った本。その筋に沿って、このデータベースの項目を並べ直す。『銃・病原菌・鉄』で読む歴史2件を共有 / なぜ征服したのがスペイン人で、されたのがインカだったのか。ダイアモンドは答えを人ではなく大陸の形に求めた。『世界史』(マクニール)で読む歴史2件を共有 / 文明どうしが接触し、借り、競い合うことで歴史が動く。世界を一つの物語として書いた最初の教科書。『ヨーロッパ覇権以前』で読む13世紀2件を共有 / 1250年から1350年まで、世界はすでに一つにつながっていた。ただし中心はヨーロッパではなかった。『1491』『1493』で読む新大陸2件を共有 / コロンブス以前のアメリカは人の少ない原野ではなかった。以後の世界は、生き物の大移動でできている。『歴史とは何か』で読む歴史の読み方2件を共有 / 事実は自分では語らない。誰がどれを選んだかが、そのまま歴史になる。この年表そのものへの問いかけ。『イタリア・ルネサンスの文化』で読むルネサンス2件を共有 / 「ルネサンス」という時代の像そのものを作った本。150年たっても、まだその像の中にいる。探検と発見1件を共有 / 地平線の向こうに何があるかを、確かめに行った人たちの記録。女性の権利1件を共有 / 人口の半分が、参政権を得るまでに文明の歴史のほとんどを要した。都市の歴史1件を共有 / 人が密集して住むという異常な選択が、文明のほとんどを生んだ。草原の帝国1件を共有 / 匈奴からジュンガルまで、2500年のあいだ農耕世界の北にいた人たちの側から歴史を並べる。接触前のアメリカ1件を共有 / 旧大陸と行き来のないまま、農耕も都市も国家も別々に生まれた。3000年ぶんの、独立した実験。『疫病と世界史』で読む歴史1件を共有 / 歴史を動かしたのは王でも思想でもなく、目に見えない微生物だった、と最初に言い切った本。『ローマ帝国衰亡史』で読むローマ1件を共有 / ギボンが1776年に出しはじめた、トラヤヌスからコンスタンティノープル陥落までの1300年。「なぜ滅びたか」を問う型はここで作られた。『大分岐』で読む歴史1件を共有 / 1800年まで、長江下流とイングランドは同じくらい豊かだった。分かれたのは石炭と植民地のせいだ、という本。『繁栄』で読む歴史1件を共有 / 人類が豊かになったのは交換のおかげで、悲観する理由はいつも外れてきた、という本。反論側も付けてある。『負債論』で読む歴史1件を共有 / お金は物々交換の不便から生まれた、という話は史料に無い。先にあったのは借りのほうだ、という本。『中世の秋』で読む中世の終わり1件を共有 / ルネサンスの前夜ではなく、中世そのものの終わり方。過剰な儀礼と、死への執着に覆われた14〜15世紀。『モンタイユー』で読む中世の村1件を共有 / ピレネーの村人200人が、異端審問で一人ずつ尋問された。その調書から、村の暮らしが丸ごと出てくる。『暴力と不平等の人類史』で読む格差1件を共有 / 格差を大きく縮めたのは、改革ではなく破局だった。戦争、革命、国家の崩壊、疫病の四つしかない、という本。『歴史序説』で読む王朝の寿命1件を共有 / 14世紀の北アフリカで、社会には法則があると考えた人がいた。王朝はなぜ三代で衰えるのか。

筋(12)

年代順に並べてあります。役どころが書いてあるものは、なぜこの物語に含まれるかを添えました。

ヴェネツィア共和国国 / AD697年(最初のドージェの選出。伝承) – AD1797年(ナポレオンによる解体)オスマン帝国国 / AD1299年頃 – AD1922年(スルタン制の廃止) / 地中海のもう半分黒死病できごと / 1347年 / 第I部。人口と土地という、いちばん遅い時間コンスタンティノープル陥落できごと / AD1453年5月29日 / 第II部。帝国の形が変わるコロンブスの到達できごと / AD1492年10月12日 / 第II部。重心が大西洋へ移りはじめるスペイン帝国国 / AD1492年(グラナダ陥落とコロンブスの航海) – AD1898年(米西戦争で最後の海外領土を失う)フェリペ2世人物 / AD1527年5月21日 – AD1598年9月13日 / 本の主人公と言われるが、扱いは大きくないポトシ銀山の開発できごと / AD1545年 / 第II部。銀の流れレパントの海戦できごと / AD1571年10月7日 / 第III部。この本ではごく短い一節になるアルマダの海戦できごと / AD1588年 / 第III部フェルナン・ブローデル人物 / AD1902年8月24日 – AD1985年11月27日 / 著者『地中海』の刊行できごと / AD1949年 / 本そのもの