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Story / ストーリー

『想像の共同体』で読む歴史

出てくるできごと AD1455 – AD1975
できごと 11人物 3

概要

国民とは、会ったこともない人を同じ仲間だと思える想像力のことだ、という本。

この物語について

『想像の共同体』(ベネディクト・アンダーソン、1983年、日本語版1987年)は、国民をこう定義する。その大半とは決して出会わないのに、心の中では一つのまとまりとして思い描かれる、限られた、主権を持つ共同体。

なぜそれが可能になったのか。本は印刷と市場を挙げる。ラテン語ではなく俗語で本と新聞が売られるようになったとき、同じ言葉を読む何十万人が、互いを知らないまま同時に同じ出来事を知るようになった。毎朝おなじ新聞を読むという儀式が、国民という感覚を育てた、という筋になる。

最初にそれをやったのはヨーロッパではない、と本は言う。南北アメリカのクレオール、つまり本国生まれではないという理由で出世できなかった植民地の役人たちだった。その型がヨーロッパへ輸入され、王朝が生き延びるために採用し(公定ナショナリズム)、最後に植民地の側がそれを使って独立した。

この物語は、本が使ったできごとを並べ直したものになる。本文は写していない。この年表で「国」を単位に地図を描いていること自体が、本の言う想像力の上に成り立っている。

動画(1)

Benedict Anderson's "Imagined Communities" (Part 1/2)Theory & Philosophy「出版資本主義」という中心の概念を、本に沿って説明している

重なっているストーリー

同じできごとや人物を含む物語です。何件を共有しているかを添えました。

主権はだれのものか7件を共有 / 王が決めるのか、議会が決めるのか、国民が決めるのか。800年かけて答えが動いた。技術と産業3件を共有 / 道具が人を変え、その人がまた道具を作った。速さが加速していく話。コテンラジオで聞く歴史3件を共有 / ポッドキャスト「コテンラジオ」が取り上げた人物とできごと。ここに並ぶ項目には、その回の動画が付いている。『国家はなぜ衰退するのか』で読む歴史3件を共有 / 国境をひとつ挟んで豊かさが違うのは、地理でも文化でもなく制度のせいだ、という本。2024年のノーベル経済学賞の元になった。『世界史』(マクニール)で読む歴史3件を共有 / 文明どうしが接触し、借り、競い合うことで歴史が動く。世界を一つの物語として書いた最初の教科書。明治2件を共有 / 藩を消し、身分を消し、40年で列強と戦えるところまで作り替えた。その代償も含めて。宗教改革と科学革命2件を共有 / 教会が独占していた「何が正しいか」の答えが、聖書と観測に明け渡されるまで。女性の権利2件を共有 / 人口の半分が、参政権を得るまでに文明の歴史のほとんどを要した。帝国と独立2件を共有 / 数十年で世界の大半が数か国のものになり、また数十年で戻った。『サピエンス全史』で読む歴史2件を共有 / ハラリが人類史を三つの革命で切った本。その筋に沿って、このデータベースの項目を並べ直す。『暴力の人類史』で読む歴史2件を共有 / 人が人を殺す率は、狩猟採集の時代から今まで、長い目で見ればずっと下がってきた、という本。反論も多い。『近代世界システム』で読む歴史2件を共有 / 国ごとの発展を比べるのをやめる。16世紀からずっと、世界は一つの分業の仕組みとして動いてきた、という本。『チーズとうじ虫』で読む一人の宇宙2件を共有 / 16世紀の村の粉挽きが、世界は腐ったチーズから生まれたと語った。裁判の記録から、一人の頭の中を復元する。『暴力と不平等の人類史』で読む格差2件を共有 / 格差を大きく縮めたのは、改革ではなく破局だった。戦争、革命、国家の崩壊、疫病の四つしかない、という本。幕末1件を共有 / 黒船が来てから15年で、700年近く続いた武家政権が終わった。二つの大戦1件を共有 / 一発の銃声から31年。二つの戦争は別々ではなく、前者の終わらせ方が後者を呼んだ。感染症と人類1件を共有 / 人が動くほど病も動いた。文明の広がりと感染の広がりは、同じ地図の上にある。探検と発見1件を共有 / 地平線の向こうに何があるかを、確かめに行った人たちの記録。キリスト教のひろがり1件を共有 / 迫害される小集団が、300年で帝国の宗教になり、そこから何度も割れながら世界へ出ていった。表現の歴史1件を共有 / 書いた人、描いた人、作った人。政治と戦争のあいだに、ずっと別の営みがあった。『銃・病原菌・鉄』で読む歴史1件を共有 / なぜ征服したのがスペイン人で、されたのがインカだったのか。ダイアモンドは答えを人ではなく大陸の形に求めた。『文明崩壊』で読む歴史1件を共有 / イースター島、マヤ、グリーンランドのノルウェー人。環境を使い尽くした社会と、そうしなかった社会。『繁栄』で読む歴史1件を共有 / 人類が豊かになったのは交換のおかげで、悲観する理由はいつも外れてきた、という本。反論側も付けてある。『オリエンタリズム』で読む歴史1件を共有 / 西洋が「東洋」について語ってきたことは、東洋についての知識ではなく、西洋についての物語だった、という本。『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で読む歴史1件を共有 / 資本主義を生んだのは強欲ではなく、救われているか分からない不安だった、という100年前の論文。『歴史の終わり』と『文明の衝突』で読む冷戦後1件を共有 / 冷戦が終わったあと、世界はどうなるのか。3年違いで出た二冊が、正反対の答えを出した。『中世の秋』で読む中世の終わり1件を共有 / ルネサンスの前夜ではなく、中世そのものの終わり方。過剰な儀礼と、死への執着に覆われた14〜15世紀。『菊と刀』で読む日本1件を共有 / 一度も日本へ行かないまま、戦時中のアメリカで書かれた日本人論。読み継がれ、批判され続けている。『地に呪われたる者』で読む脱植民地1件を共有 / 植民地支配が人の心に何をするかを、精神科医が診察室から書いた。36歳で死ぬ年に口述された本。『歴史とは何か』で読む歴史の読み方1件を共有 / 事実は自分では語らない。誰がどれを選んだかが、そのまま歴史になる。この年表そのものへの問いかけ。『イタリア・ルネサンスの文化』で読むルネサンス1件を共有 / 「ルネサンス」という時代の像そのものを作った本。150年たっても、まだその像の中にいる。『砂糖の世界史』で読む世界商品1件を共有 / 一つの白い粒を追いかけると、カリブの奴隷とイギリスの朝食と産業革命が一本につながる。『昨日までの世界』で読む伝統社会1件を共有 / 国家のない社会は、争いも子育ても老いも、私たちと違うやり方で扱ってきた。何を学べるか。『黒い皮膚・白い仮面』で読む植民地の心1件を共有 / 支配される側が、支配する側の目で自分を見てしまう。27歳の精神科医が書いた最初の本。

筋(14)

年代順に並べてあります。役どころが書いてあるものは、なぜこの物語に含まれるかを添えました。

グーテンベルクの活版印刷できごと / AD1455年頃 / 出版資本主義の始まり95か条の論題できごと / AD1517年10月31日 / 俗語で刷ることが、読者の範囲を作った定期刊行の新聞の始まりできごと / AD1605年 / 毎朝おなじものを読む儀式アメリカ独立宣言できごと / AD1776年7月4日 / 第4章。最初の国民主義は植民地の側で生まれたホセ・デ・サン・マルティン人物 / AD1778年2月25日 – AD1850年8月17日 / クレオールの独立運動フランス革命できごと / 1789年 / 第5章。型が輸入され、模倣されるハイチ革命できごと / 1791年明治天皇人物 / 1852年 – 1912年インド大反乱できごと / 1857年 / 第6章。数え、地図にし、博物館に入れるホセ・リサール人物 / AD1861年6月19日 – AD1896年12月30日 / 本が繰り返し引く小説を書いた人大日本帝国憲法の発布できごと / 1889年2月11日(明治22年2月11日) / 第6章。王朝が生き延びるために国民を作るフィリピン革命できごと / 1896年 / 第7章。最後の波第一次世界大戦できごと / 1914年 / 帝国が国民国家に割れるパプアニューギニアの独立できごと / AD1975年9月16日 / 植民地の線が、そのまま国民の輪郭になる