概要
国家のない社会は、争いも子育ても老いも、私たちと違うやり方で扱ってきた。何を学べるか。
この物語について
『昨日までの世界』(ジャレド・ダイアモンド、2012年、日本語版2013年)は、著者が50年通ったニューギニアを土台にしている。
扱うのは、国家のない、あるいはできたばかりの社会になる。人類の歴史のほとんどは、そういう社会で過ごされた。中央の権力も、警察も、裁判所も、文字も無い暮らしになる。
本は主題ごとに比べていく。見知らぬ者に会ったときどうするか。争いをどう収めるか(賠償と関係の修復が中心で、罰ではない)。子どもをどう育てるか。老人をどう扱うか。危険をどう見積もるか。宗教は何のためにあるか。多言語で育つことの意味。塩と砂糖と病気。
結論は懐かしがることではない。暴力と乳児死亡率は高く、飢えの危険は常にある。それでも、子育てと老いと争いの収め方には、学べるものがある、という書き方になる。
この物語は、本が扱った主題に対応する項目を並べたものになる。本文は写していない。
「伝統社会」を一つにまとめすぎている、という批判はこの本にも向けられている。
動画(1)
重なっているストーリー
同じできごとや人物を含む物語です。何件を共有しているかを添えました。
文明のはじまり5件を共有 / 農耕も都市も文字も、離れた場所で別々に始まった。そして始まった順序は、思っているのと違う。『サピエンス全史』で読む歴史4件を共有 / ハラリが人類史を三つの革命で切った本。その筋に沿って、このデータベースの項目を並べ直す。探検と発見3件を共有 / 地平線の向こうに何があるかを、確かめに行った人たちの記録。『銃・病原菌・鉄』で読む歴史3件を共有 / なぜ征服したのがスペイン人で、されたのがインカだったのか。ダイアモンドは答えを人ではなく大陸の形に求めた。『反穀物の人類史』で読む歴史3件を共有 / 人が穀物を育てたのではなく、穀物と国家が人を囲い込んだ。最初の国家は、なぜ壁の内側に人を閉じ込めたのか。『繁栄』で読む歴史2件を共有 / 人類が豊かになったのは交換のおかげで、悲観する理由はいつも外れてきた、という本。反論側も付けてある。『万物の黎明』で読む歴史2件を共有 / 狩猟採集から農耕へ、村から都市へ、そして国家へ。その一本道の筋書きそのものが間違いだ、という本。『暴力と不平等の人類史』で読む格差2件を共有 / 格差を大きく縮めたのは、改革ではなく破局だった。戦争、革命、国家の崩壊、疫病の四つしかない、という本。古代オリエント1件を共有 / 文字も法も都市も、まずここで生まれた。そして次々に主が入れ替わる2500年。技術と産業1件を共有 / 道具が人を変え、その人がまた道具を作った。速さが加速していく話。主権はだれのものか1件を共有 / 王が決めるのか、議会が決めるのか、国民が決めるのか。800年かけて答えが動いた。『文明崩壊』で読む歴史1件を共有 / イースター島、マヤ、グリーンランドのノルウェー人。環境を使い尽くした社会と、そうしなかった社会。『疫病と世界史』で読む歴史1件を共有 / 歴史を動かしたのは王でも思想でもなく、目に見えない微生物だった、と最初に言い切った本。『物質文明・経済・資本主義』で読む三つの層1件を共有 / 毎日の暮らし、市場での取引、そしてその上に乗る資本主義。ブローデルは経済を三層に分けた。『暴力の人類史』で読む歴史1件を共有 / 人が人を殺す率は、狩猟採集の時代から今まで、長い目で見ればずっと下がってきた、という本。反論も多い。『世界史』(マクニール)で読む歴史1件を共有 / 文明どうしが接触し、借り、競い合うことで歴史が動く。世界を一つの物語として書いた最初の教科書。『負債論』で読む歴史1件を共有 / お金は物々交換の不便から生まれた、という話は史料に無い。先にあったのは借りのほうだ、という本。『想像の共同体』で読む歴史1件を共有 / 国民とは、会ったこともない人を同じ仲間だと思える想像力のことだ、という本。『ホモ・デウス』で読む次の歴史1件を共有 / 飢餓と疫病と戦争を抑え込んだ人類が、次に何を目指すか。『サピエンス全史』の続編。筋(7)
年代順に並べてあります。役どころが書いてあるものは、なぜこの物語に含まれるかを添えました。
最初のアフリカ外進出できごと / 約18万〜9万年前(ミスリヤ/スフール・カフゼー)サフルへの渡海できごと / 約6万5000年前(5万〜7万年前と幅がある)農耕の始まりできごと / 紀元前90世紀ニューギニア高地の農耕できごと / この年表より前から(およそ1万年前に始まる) / 著者が50年通った土地ハンムラビ法典できごと / BC1754年頃 / 争いを罰で収める側の起点ゾミアの山地民できごと / 1600年 / 国家の外で暮らすということパプアニューギニアの独立できごと / AD1975年9月16日 / 「昨日までの世界」がいつ終わったか