概要
市場はずっと社会の一部だった。それが逆転して、社会のほうが市場に合わせはじめた19世紀に何が起きたか。
この物語について
『大転換』(カール・ポランニー、1944年、日本語版1975年)は、二つの大戦のあいだに何が壊れたのかを説明しようとした本になる。
中心の主張は一つになる。市場での交換は昔からあったが、社会全体が市場の論理に従うようになったのは19世紀のイギリスが初めてだった。そのために、本来は商品ではないものを商品として扱う必要があった。土地と、労働と、貨幣になる。著者はこれを「擬制商品」と呼ぶ。
土地を商品にしたのが囲い込みで、労働を商品にしたのが救貧法の改正になる。無理があるので、社会の側は必ず自分を守ろうとする。工場法、労働組合、関税、中央銀行。その押し合いが19世紀を動かし、そして1930年代に金本位制が壊れたとき、ファシズムとニューディールと社会主義という三つの答えが同時に出た、という筋になる。
この物語は、本が使ったできごとを並べ直したものになる。本文は写していない。
本が書かれたのは1944年で、戦争のさなかになる。自己調整的な市場という理念は二度と戻らない、と著者は書いたが、それは40年後に戻ってきた。
動画(1)
重なっているストーリー
同じできごとや人物を含む物語です。何件を共有しているかを添えました。
交易路とお金4件を共有 / 運ぶ/両替する/貸す。人と物が動くところには、いつも同じ仕組みが生えてくる。『国家はなぜ衰退するのか』で読む歴史4件を共有 / 国境をひとつ挟んで豊かさが違うのは、地理でも文化でもなく制度のせいだ、という本。2024年のノーベル経済学賞の元になった。考えることの歴史3件を共有 / 同じ数百年のあいだに、ギリシアでも中国でもインドでも、人が根本から考え直した。『サピエンス全史』で読む歴史3件を共有 / ハラリが人類史を三つの革命で切った本。その筋に沿って、このデータベースの項目を並べ直す。『繁栄』で読む歴史3件を共有 / 人類が豊かになったのは交換のおかげで、悲観する理由はいつも外れてきた、という本。反論側も付けてある。『暴力と不平等の人類史』で読む格差3件を共有 / 格差を大きく縮めたのは、改革ではなく破局だった。戦争、革命、国家の崩壊、疫病の四つしかない、という本。二つの大戦2件を共有 / 一発の銃声から31年。二つの戦争は別々ではなく、前者の終わらせ方が後者を呼んだ。冷戦2件を共有 / 撃ち合わずに40年競った。ただし代理の戦場では、実際に人が死に続けた。技術と産業2件を共有 / 道具が人を変え、その人がまた道具を作った。速さが加速していく話。主権はだれのものか2件を共有 / 王が決めるのか、議会が決めるのか、国民が決めるのか。800年かけて答えが動いた。コテンラジオで聞く歴史2件を共有 / ポッドキャスト「コテンラジオ」が取り上げた人物とできごと。ここに並ぶ項目には、その回の動画が付いている。『大分岐』で読む歴史2件を共有 / 1800年まで、長江下流とイングランドは同じくらい豊かだった。分かれたのは石炭と植民地のせいだ、という本。『世界史』(マクニール)で読む歴史2件を共有 / 文明どうしが接触し、借り、競い合うことで歴史が動く。世界を一つの物語として書いた最初の教科書。『砂糖の世界史』で読む世界商品2件を共有 / 一つの白い粒を追いかけると、カリブの奴隷とイギリスの朝食と産業革命が一本につながる。感染症と人類1件を共有 / 人が動くほど病も動いた。文明の広がりと感染の広がりは、同じ地図の上にある。都市の歴史1件を共有 / 人が密集して住むという異常な選択が、文明のほとんどを生んだ。『物質文明・経済・資本主義』で読む三つの層1件を共有 / 毎日の暮らし、市場での取引、そしてその上に乗る資本主義。ブローデルは経済を三層に分けた。『負債論』で読む歴史1件を共有 / お金は物々交換の不便から生まれた、という話は史料に無い。先にあったのは借りのほうだ、という本。『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で読む歴史1件を共有 / 資本主義を生んだのは強欲ではなく、救われているか分からない不安だった、という100年前の論文。『近代世界システム』で読む歴史1件を共有 / 国ごとの発展を比べるのをやめる。16世紀からずっと、世界は一つの分業の仕組みとして動いてきた、という本。『歴史とは何か』で読む歴史の読み方1件を共有 / 事実は自分では語らない。誰がどれを選んだかが、そのまま歴史になる。この年表そのものへの問いかけ。『リオリエント』で読む世界経済1件を共有 / 1800年まで、世界経済の中心はアジアだった。ヨーロッパは、その列に遅れて並んだ客にすぎない。筋(12)
年代順に並べてあります。役どころが書いてあるものは、なぜこの物語に含まれるかを添えました。
ワット・タイラーの乱できごと / AD1381年6月 / 社会が自分を守ろうとする動きの、古い例イングランド銀行の設立できごと / AD1694年 / 19世紀の100年の平和を支えた金融の仕組みアダム・スミス人物 / AD1723年(6月5日洗礼) – AD1790年7月17日 / 本が疑う前提を書いた人囲い込みできごと / 1750年 / 土地が商品になった産業革命できごと / 1760年トマス・マルサス人物 / AD1766年2月13日 – AD1834年12月23日イギリスの奴隷制廃止法できごと / AD1833年8月28日カール・ポランニー人物 / AD1886年10月25日 – AD1964年4月23日 / 著者ロシア革命できごと / AD1917年 / 同じ問いへの、もう一つの答え世界恐慌できごと / 1929年金本位制の崩壊できごと / AD1931年9月 / 世界を縛っていた輪が外れるナチスの政権掌握できごと / AD1933年1月30日 / 市場から社会を守ろうとした、最悪の形